ベタベタ我慢 6日目 ページ26
翌朝
私は一度自宅に帰宅する、なんてことはできず、そのままそこで睡眠をとった。
もちろん物音がしたらすぐに起きれるくらいの浅い睡眠だ。
仕事をしていたところで眠るのはこの仕事ではよくあることでもう慣れた。
浅い睡眠も、固いソファーで寝ることも。
朝起きるとすぐにスーツの方が細身の女性を連れてきた。
さすがに早すぎるだろう、そう思うくらいの時間。
私は不満があっても口に出すことは許されない。
それが、お金をもらっている側の弱いところだ。
ちなみに運ばれてきた女性はなかなかきれいな顔立ちをしていた。
もちろん、トガちゃんには遠く及ばないけれど、ナチュラルなメイクが素敵な女性だ。
「任せたぞ、メモリー」
スーツの方はそう言い残して部屋をあとにする。
私が渡した情報を整理しているんだろう。
昨日のアニソンの方の情報は予想以上に多く、たくさんまとめてしまったから。
アニソンの彼は諜報員だったらしい。
情報量が多いのも納得だけれど、アニソンの歌詞を考えるのは本当にやめていただきたかった。
話がずれてしまったけれど、とりあえずスーツの方は情報まとめに勤しんでいるということだ。
そして今日。
スーツの方の仕事はますます増えるだろう。
なぜなら、私はトガちゃんが用意してくれた薬で“個性”をブーストさせて仕事するから。
きっとスムーズに記憶を見ることが可能になるんだろう。
だから、作業効率も上がるはず。
そんな期待を込めながら、私は注射器を腕に指し、中身を入れる。
うん、今のところ変化はなし。
入れたばかりは効果がないのかもしれない。
そんなことを考えながら私はナチュラルメイクの彼女の額に手を当てた。
数時間後、私は薬の効果を実感していた。
いつもは二人目でキツくなるのに、全然平気だ。
それに、一人の記憶がすぐに私の中に入ってくる。
単純に記憶量が少ないのかもしれないけれど、昨日よりもはっきりとした記憶が入ってきた。
だから、メモを取るのも楽で、効率はどんどん上がっていく。
スーツの方は驚きながらも、「早くしてくれるのはありがたい」と言っていた。
そして、記憶を見るべき人の記憶は全て見て、記憶を消すだけ作業も、あと二人で終了だ。
今の時刻は午後3時。
お昼休みはとっていないけれど、あと二人の記憶を奪って消すくらい楽勝だ。
私はスーツの方が連れてきた最後の二名の額を同時にさわり、一気に記憶を奪って消した。
これで仕事はもう終わりだろう。
我慢の時も、もうすぐ終わる。
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鈴蘭(プロフ) - ゆいなさん» コメントありがとうございます!トガちゃんが大好きな方にそう言ってもらえて光栄です! (2020年8月21日 21時) (レス) id: f42ad491f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - トガちゃん大好きなので最高です!、 (2020年8月15日 23時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 月雪桜@歌い手好きさん» コメントありがとうございます!トガちゃんの魅力が伝わっていて安心しました。次回作、何を作るかはわかりませんが読んでくださると嬉しいです! (2018年11月20日 22時) (レス) id: f42ad491f0 (このIDを非表示/違反報告)
月雪桜@歌い手好き(プロフ) - とてもトガちゃんの魅力が表にでていて(ヤンデレ的な意味も含めて)とても良い作品だと思いました!完結おめでとうございます!とても面白かったです。次回作も期待しております! (2018年11月20日 22時) (レス) id: ada51b0201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年9月19日 23時