干渉 ページ6
何だったんだろう、あの夢。
英語の授業中、ずっとそのことを考えていた。
どこまで続いているか分からない真っ白な部屋。
その奥に、小さな黒い点。だんだん近づいて来るにつれ、あれは人影だと思った。思った瞬間に、今まで感じたことが無い程の恐怖を感じた。
あんな変な夢、見たことがない。何かを暗示しているのだろうか。いつもより夢の内容をはっきり覚えているのに、何だかすっきりしない。
一番気になるのは、人影が何者なのかだ。最後の最後であれが人影なのは辛うじて分かったものの、それが誰かまでは検討もつかない。
それに、あの夢の終わり方。何だかとても中途半端だったような気がする。あの夢には続きがあるのかもしれない。……まあ、見たくはないけど。
夢のことを親友に話そうと思ったのだが、なんと風邪を引いてしまっているため今日は休みらしい。昨日は元気そうだったけど、大丈夫だろうか。帰りに何か買って行こうかな。
などと思索に耽っていた私は、バサリと何かが落ちる物音で我に返った。物音がした方を見ると、教室の隅に設置された棚に置かれている本が三冊、床に落ちている。
先生が棚の前を通った時に棚にぶつかりでもして落としたのか。そう思って先生を見る。
そして、落としたのは先生ではないと分かった。
「ん?何で棚から本が落ちたんだ?」
本が落ちてから開口一番にそう言った先生は、教室の入り口の方──棚から随分離れた場所に立っているのだ。棚にぶつかってすぐに今の位置に立つのは走らない限り無理だ。そんな足音はしなかったし、そもそも教師が教室内を走る、なんてことはしないだろう。
なら生徒か?いや違う。
棚に一番近い席でも、ある程度距離がある。
着席した状態で棚に、ましてや一番上の段に置かれている本を落とすなんて芸当は不可能だ。
じゃあ、誰が?
誰が本を落とした?
……もしや、これが所謂ポルターガイストというやつだろうか。
昼前なのに、ポルターガイストなんて起きるのか。
私はオカルトは好きだが、ポルターガイストについてはさほど詳しくない。深く考えようとしても分かりっこなかった。
「不思議なこともあるもんだなあ。よし、じゃあ再開するぞー」
棚に本を戻した先生の呼び掛けと共に考えるのをやめて、授業に集中することにした。
それ以降、私が授業中にポルターガイストについて、そして夢の内容について考えることはなかった。
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絹ごし(プロフ) - みるくがーるさん» ご感想ありがとうございます!作品を楽しんでいただけたなら嬉しいです!ギミックですが、ドラッグと言えば伝わりますでしょうか?ギミックは作品の至る所にありますので、是非随所でドラッグをお試しください。 (2020年7月30日 15時) (レス) id: 4bc34f0b9f (このIDを非表示/違反報告)
みるくがーる - ギミックとやらが分からないです…でも、お話は凄い怖くておもしろかったです! (2020年7月30日 6時) (レス) id: e8907ac6ff (このIDを非表示/違反報告)
絹ごし(プロフ) - 斜陽さん» 感想ありがとうございます!作者側だと怖いかどうか分からないので、そう言っていただきとても嬉しいです!ギミックについてですが、一番最後のページに詳細を追加しましたので、お手数ですがそちらをご覧ください。応援も嬉しいです、ありがとうございます……! (2020年7月29日 18時) (レス) id: 4bc34f0b9f (このIDを非表示/違反報告)
斜陽(プロフ) - コメ失礼します。前作「床下の古井戸」も見させて頂きました。正直とても怖くて夜に見るんじゃなかったと後悔しています…。ギミックで鳥肌立ちました。よければどうやるのか教えてくれると嬉しいです!長文失礼しました、これからも応援させて頂きます。 (2020年7月28日 21時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
絹ごし(プロフ) - ずんだ猫。さん» ご感想ありがとうございます!ギミックはこの作品で一番こだわったところなので、楽しんでいただけたなら嬉しいです!作品を作る頻度は低いですが、自分のペースで頑張りたいと思います! (2020年7月25日 23時) (レス) id: 4bc34f0b9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絹ごし | 作成日時:2020年7月24日 17時