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先生 ページ5

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Aが真希たちの元へ帰る少し前。


「___これで全部ですね」
「お疲れ様でした」


任務を終えたAが伊地知に報告をする。


「お疲れサマーランチ〜。どうだった?」


伊地知に促され車の後部座席に乗り込めば、助手席ではなく奥の座席に長い足を組んでヒラヒラと此方に手を振る五条の姿。


「…」
「え〜、Aまでそんな怖い顔するようになっちゃったの〜?僕かなしー」


申し訳なさそうな表情をした伊地知が映り込むバッグミラーを一瞥し、少しだけ眉をひそめれば、笑顔を浮かべた五条にそう言われる。


「別に…怖い顔なんて…疲れてるだけだと思いますけど…」


実際のところ、低級の呪いばかりだったのにも関わらず、真希の言う通り弱いものほどよく群れるのか、数が多かった。

先程伊地知に報告した時もいちいち等級ごとに数を思い出さなくてはならず、少々苛立っていたのは言うまでもなかった。

それはそうとだ。Aには疑問が1つ。
行きは見送っただけのはずの五条が何故此処に居るのか。

高専に向かって走り出した車の中でそう小さく疑問を呟けば、車窓からの景色を眺めていた五条が「それはね、」と反応する。


「Aの出来を確かめたかったからかなぁ」


そう言って口角を上げる五条。


「私の出来……?」


発せられた言葉をオウム返しすれば、そうそう、と頷く。


「最近、担任だから〜って、1年ばっか見てたけどさぁ?ほら、僕一応、Aの保護監督じゃん?成長経過とか見とかないと〜」
「…そうですか」


嘘っぽいなぁ、なんて思いながら相槌を打つ。

この先生はいつもこうだったな、仕方ないか。

そう自分を納得させては、ずっと逸らしていた視線を彼の方に少しだけ向ける。


「……ん?」
「……あ、いえっ」


視線に気づいたのか、小さく首を傾げてみせる相手に少しだけ慌ててしまう。


「………Aはさぁ、ちゃんと、言った方がいいよ。言いたい事。僕は……僕たちは、ちゃんとその言葉を拾ってあげるからね」


ふむ、と言ったあと。自身の下唇を親指と人差し指で摘みながら、選ぶようにして紡がれたその言葉にドクッ、と1つ心臓が大きく脈を打つ。


「あり、がとうございます……五条先生…」
「あっはっは、いいって事だよ!なんてったって、僕は生徒想いのグッドルッキングガイだからね!」


楽しそうにそう笑った五条に、強ばっていた表情が少しだけ緩んだ気がした。



………

京都校→←違和感


ラッキーアイテム

伊地知さんの苦労が目に見える


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- 更新待ってます...! (2020年11月7日 11時) (レス) id: 8ab799c49a (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 豆腐さん» あ!ありがとうございます!!すぐに訂正しますね!!! (2019年11月8日 19時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - 優太ではなく憂太ですよ (2019年11月1日 11時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/  
作成日時:2019年7月25日 18時

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