【luz】『暗転』/こんぺいとう。 ページ40
昔はただ素直に好きだと言えていた時代なのに、今はそれすらも批判がくる。争うように競うように、数だけを気にして動画の内容には触れないものだってある。
時代が変われば人が変わるのではなく、人が変わるから時代が変わるのだと彼女が涙した。
「A一人が悩む必要ないやん」
「…でも誰かがこの気持ちを持っていないと時代に流されそうになる」
「………」
難しい。正気あの曲は他の何とも比べられないオンリーワンの曲なのに。聞く人が変われば感情も変わるらしい。
「ルスたちのが、かっこいい」
「うん、」
「ルスのがかっこいい」
「…うん、」
「だから、気にしないでいいよ」
気にしているのはAの方なのに。気を張っているのは一部のリスナーやファンで、正解が出ない以上何を言ったって時間に流されてしまうね。
「ほら、泣かない」
「……っ、泣いてない」
「うそ。……目からポロポロ溢れてる」
なんで泣いてるの、なんて聞いても彼女は頭を横に振るだけだった。
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ほさと - とても感動しました。占ツクの歌い手様を扱った作品には珍しくしっかりと小説になっていて、一介の読書好きとしても嬉しかったです。どの作品もとても美しい比喩があり、音読したい作品だなぁと思いました。 (2019年7月14日 20時) (レス) id: fdc2472f82 (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - 皆様の素晴らしい文章に心が震えました。ありがとうございます。執筆お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。 (2019年6月17日 16時) (レス) id: d99258de7b (このIDを非表示/違反報告)
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