10-4 病床に臥す ページ44
「そんなもの背負わなくったっていいさ。どんどん吐きなさい。
全く、馬鹿なのはAの方だよ」
『っ……みんなに、会いたいっ……探偵社の……っ、みんなと喋りたい。おれ、最期まで太宰と居たい……』
止まることを知らない涙を拭い、嗚咽混じりに伝えた声は確かに、Aの本心を綴っていた。
「ふふ、勿論だよ。私は最期の最期までAの傍に居よう。君を見届けると誓おう。
では、早速明日探偵社に行ったときに皆に御見舞に来てもらうよう伝えておくさ」
『有難う。でも、俺が結核って言うのは矢っ張り言わないで欲しいかな。肺炎とでも言っておこう。過度に哀れみを向けられちゃ俺が生に縋ってしまいそうだからね……』
ーー
(Aside)
「失礼しまーす」
次の日、逢魔時と呼べる時間帯に自宅の呼び鈴が鳴った。
恐らく太宰が帰宅ついでに連れてきたようで、探偵社員何人かの足音が聞こえる。
「A、急な呼び掛けだったから用事のある人も何人か居たけど、連れてきたよ」
出来る限り集めてきたつもり、と付け加えここは慎重に戸外から話し掛けてくれる太宰。
『有難う……俺の我儘聞いてくれて。
本当は顔も見たいけど、俺の病は感染症なの。呼んでおいて失礼なのは分かってる。けど、ドア越しでもいいかな……?』
顔を合わせるのは怖かった。
いくらN95の95パーセント細菌を防げるマスクだって、逆に言えば5パーセントは防げないのだ。
そして、万が一にでも皆の前で喀血でもしてしまえば……。
そんな事を考えるととても戸を開けることは出来なかった。
「多少の病原菌位に負けるほど俺はヤワじゃないぞ」
国木田の声だ。
『駄目ったら駄目なの!
……国木田以外には誰がいるの?』
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う!!!私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……!涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います!現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです!頑張ります! (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援してます! (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います!!え、凄い嬉しい…!!同じ受験生何ですね!頑張りましょ!応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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