6-2 たそがれ と やつがれ ページ23
段々と、俺達に近づく
堪らなくなって太宰の外套の先を握る。
「ふふ……若しかしたら、あの
――この世の者でない無いのかもしれない」
『ひ――!』
あと三メートル、と云う処で急に其の
もう俺は太宰の外套の裾を握り締めているが、顔だけは影から逸らさない。
逸してはいけない気がした。
刹那、その影の塊のような、人のようなものから更に鋭利で殺傷能力の高そうな影が襲ってきた。
其れも、俺を――――否、俺の首元を狙って。
急なこと故か、俺は一歩も動く余裕なく首元に其の鋭利な影をあてがわれた。
『ひ……だ、誰――』
閑静な住宅街は、何の音も響かず、本当に人が住んでいるのか不安になる程だった。
耳が痛くなるような静寂に、喉から絞り出したような俺の声が響く。
「随分な登場じゃないか――
――――芥川くん」
『あくた……が……わ?』
聞きたことがあるような名だ。
「
何故、貴様のような奴が、太宰さんの隣で呑気に暮らしているのか……何故貴様は――」
元々あと数センチで首につきそうだった芥川さん(?)から伸びる影のようなものは更にジリジリとミリ単位まで詰め寄ってくる。
というか、やつがれ? って何だろう?
たそがれの話をずっと聞かれていたのだろうか。
『……どういう意味? 俺、何の話か、分からないんだけど』
情けない、声が震えても尚強がるように答えてしまう。
少しでも前に倒れれば首はシュッと切れてしまうだろう。
「僕は、ポートマフィアだ。
何故、何も出来ぬ……何の力も持たぬような貴様が、太宰さんに……!!」
『太宰がなんだっていうの!
俺は、何も出来ないよ、お前みたく便利な異能力だって持ち合わせてないけど、何が云いたいのか分かんない!』
訳も解らず叫んでしまった。
首にあてがわれた物のせいで真横にいる太宰の表情を見ることができない。
叫んだ直後、芥川(もう呼び捨てでもいいと思う)の周りのオーラが一層黒くなり、俺の首にあてがわれた物が浅く、めり込んだ。
浅けれど、長さ数ミリほどの切り傷ができたのだと思う。
首からだけ何か流れ落ちた感触。
「私も、君が何が云いたいのか一ミリも解らないね。
Aに対してそんなに嫉妬できる理由なんて、君にはないだろう?
――――君が"出来ない"だけであって、Aには関係ないだろう?」
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う!!!私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……!涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います!現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです!頑張ります! (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援してます! (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います!!え、凄い嬉しい…!!同じ受験生何ですね!頑張りましょ!応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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