3-3 夏といえば？怪談大会！-百物語- ページ11
『……じゃあ次は俺の番？』
既に何人かが語り終え、Aの番がやってきた。
「そうだね」
『んー、じゃあ一回目くらいは本には頼らないでおこうかな』
「お、自前？」
『如何だか。敦帰って来てないけど、始めるよ。
ある所に、一匹の子狐がいました。その狐は、幼いころから両親が居らず、どんな狐だったのかさえ、知りません。
孤独だったはずですが、いつからか住処にしていた神社で、一人の人間に出会いました。
その人がどんな人間かなんて、知りませんでしたが、毎日一緒にいて、子狐は確かに幸せでした。
神社に住んでいるらしいその人間は、夜は仕事に出かけてしまいますが、それ以外は一時も離れない仲です。
ですが或る日、神社の境内で二人でいるところに、大勢の人間がやってきました。
子狐はこんな大勢の人間を見たことがありませんでした。
何だろうという好奇心半分、直感で恐怖も感じる。
あ然としている子狐をよそに、ずっと隣にいた人間から血が吹き出した。
眼の前を横切る赤、朱、紅……。
鉄砲の様な音がしたと気づいたのは我に帰ったあと。
――何で、何で、何で――そう言ったけど、言いたいけど狐の自分じゃ届かない。
体が、竦んで、動かない。
血を吹き出して倒れたあの人はビクともしないのに、確かにもう命は無いはずなのに、カッと見開いた目が子狐をみつめる。
急に心臓を掴まれたようにギュッとなって、怖くなって、急いで目をそらす。
その先には、子狐とずっと一緒だった人間を殺したヤツらがいた。
ただ、ただ、子狐は悲しかった。
――俺は、仲良くしたやつがすぐに死んじゃう呪いにでも、かかってるのかな――
子狐は、鉄砲を持った大勢の人間の前で、そうつぶやいた』
決して驚かすようなことはしないまま、Aの話は終わりを迎えた。
「……ヒッ……う、Aくん、語るの、うますぎませんか……っ」
『敦？！ なんで泣いてんの？！』
「……Aが怖い話っていうより、悲しい話語るからじゃない？」
『目の前で一緒にいた人が死ぬほど怖いことってないだろって思うけど？』
「誰がこんな心に沁みる話をしろといった？？」
「本当に。Aったら自分のことの様に語ってとっても心にしみたよ」
『……う、お、俺蝋燭消してくるから！』
Aは軽い駆け足で蝋燭の部屋へ向かっていった。
「では、次は私の番だったか」
遠くで聞こえる「暗い！」なんて騒ぎ声をよそに、福沢は次の怪談を始めた。
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う！！！私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (
レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……！涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います！現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです！頑張ります！ (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！これからも応援してます！ (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います！！え、凄い嬉しい…！！同じ受験生何ですね！頑張りましょ！応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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