暗い世界２ ページ4
そういうと私達は食べていたお菓子やシートをリュックに詰め込み、出来る限り気配を消しながらそろそろと声の聞こえた方向と反対方向へ移動する。そうしてやっと家路を半分まで行ったとき、だいちゃんが、あ！と声を上げた。
「どうしたの！？」
「にゃーちゃんのキーホルダー．．．置いてきた．．．」
「え！じゃあ早く戻らないと！」
にゃーちゃんのキーホルダーというのは、私が誕生日にだいちゃんにプレゼントしたにゃーちゃんの1周年記念ライブで先着1名しか手に入れることが出来ない幻のキーホルダーだ。先着1名といっても、くじを引いて1番先に1等が出た人が貰うという感じのイベントだったので結局は自分の運次第だが。
ちょうどだいちゃんの誕生日プレゼントに困っていた私は、お菓子やバトレンジャーの次ににゃーちゃんが好きなだいちゃんのため、残念賞の参加した全員がもらえるタオルでもあげようかと思いくじを引いたところ、まさかの1等が出たためもらうことになった。(ついでににゃーちゃんと握手もした。)
このキーホルダー、世界で1つしか存在しないため今ではものすごい値が付いており、最低1000万はする。この事はテレビでも報道されみんな知ってるのでこれをもしどこかに落としでもしたら帰ってくる保証はない。
それに、このキーホルダーはだいちゃんが私からのプレゼントということでとっても大事にしている。無くしたりしたらそのショックは計り知れない。
私達は急いで踵を返し、幽霊たちと戦闘する覚悟で花火を見ていた場所へ駆け戻った。そこには幽霊はいなかった。しかし、そこにははっきりと幽霊の居た痕跡が残っていたそこを私達がいくら探してもにゃーちゃんのキーホルダーは見つからない．．．とすると、幽霊が持って行ったのか？
「どうしよう．．．多分幽霊に拾われちゃってるよ．．．もう見つけるの無理かも．．．」
「スー、俺は絶対に探し物をみつけられるから大丈夫！もし拾われてても取り返すから！」
そう言うとだいちゃんは何かに誘われるように、しかししっかりとした足取りで幽霊の声が聞こえた方向へ歩き出す。
「ちょ、ちょっとだいちゃん！？そっちは幽霊がいるかもよ？」
「今のところ気配がないから大丈夫だと思う。じゃ、俺探してくる！」
そういうとだいちゃんは走り去ってしまった。
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作者名：海神（かいと） | 作成日時：2019年5月20日 9時
