55、迂闊 ページ5
・
・
「なんか弱そう…」
「そんなことはございません！！水の力はすなわち自然の力、命の力なのです！」
こんのすけくん曰く、自然の力である水の霊力を使えば木造の本丸は立ち所に息を吹き返すだろう、との事だった。
浄化より再生向きの力だったわけだ。
さっき台所でやった浄化でお皿を粉々にしてしまったのはそれが原因ってことにしておこう。
「よーし、そうと決まれば本丸の修繕から取りかかろう！」
ご飯を食べ終えた私はまず巫女服に着替えた。
これがまた着るのがめちゃくちゃ大変だったのだけれど、本丸修繕は神事だから正装でという事だったらしい。
「泉ー、起きてるかー？」
「ちょっと兼さん、女性の部屋をいきなり開けるなん…て…！」
「兼さん、堀川くん！いい所に…うわっ！」
兼さんと堀川くんは私の姿を見るやいなや刀を抜きはなった。
ハッとしたように刀を納めるとバツが悪そうに頭をかいた。
「なんだ、泉か…。わりぃ、驚かせちまって。」
「う、ううん。どうしたの？」
「それは…」
「泉さんの巫女服姿が、主に見えたんだ。」
言われて気付いた。
ここの主だった梓さんもたいそう着崩してはいたものの、巫女服を着ていた。
傷も癒えきらない刀剣男士達の前に巫女服を着た女が現れれば、そういう反応にもなるだろう。
「迂闊だった…」
だからといって、神事を行うにあたって巫女服を脱ぐわけにはいかない。
そうだ！
「こんのすけくん、男用の巫女服とかってあったりする？普通の袴とかでもいいよ。」
「は、はい！すぐにご用意できます！」
「急がなくていいけど、用意してもらえる？」
こんのすけくんが行ったのを確認してからハサミを取り出した。それ用のハサミじゃないけどまぁいいか。
「泉さん、何を…！？」
ジャキッ
肩まであった髪を耳の高さまで切り上げる。
こういうのは思い切りが大事なんだ。
どんどんいこう。
「待て待て！あんた何やってんだ！！」
「女の人に見えると怖がらせてしまうなら、男っぽくしようかなと…」
「はぁ！？」
さっきまでの睨みつけるような視線はどこへやら、今は二人揃ってあんぐり口を開けている。
「…髪は女の命って…主さんは…少し千切れただけでも…」
「髪なんかより今貴方達に少しでも怖かった頃の記憶を思い出させてしまった方が私には大問題だよ。」
迂闊だった自分に腹が立って、もう一度ハサミを握り直した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
刀剣乱舞「死なせていただきます」と彼女はいった 【刀剣乱舞】審神者？いやいや、私は補佐役だよ「第弐部」
【刀剣乱舞】ブラック本丸にて好きにやれって言ったら滅茶苦茶命狙われた(´･ω･`)幕...もっと見る
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
