69、私にも意地がある ページ19
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「食事作りの邪魔をしてすみませんでした。失礼しますね。」
何となくいたたまれない気持ちになって、早々にその場を離れた。
だから私は気づかなかった。
彼が心配そうな顔で私の後ろ姿を見送っていたことに。
逃げるように早足で歩いてきたがふと立ち止まる。
なーにをやってるんだ私は。
当初の目的を果たさなきゃ。
とりあえずぷらぷら歩いてみて、出会った人に手入れさせてもらえないか聞いてみよう。
廊下を歩く。
誰かに会えないかなーと思いながら。
でも、ついぞ誰にも会わなかった。
あっそうか…。
「避けられてるんだ。」
彼等は刀。戦いの中を生きる者達だ。
気配丸出しの素人女を避けることなど造作もないことだろう。
少し考えれば分かる事だった。
「歓迎されてないもんなぁ…」
泉さーん、なんて姿を見つけて寄ってきてくれる姿なんて正直想像出来ないし。
かと言ってこちらにも意地がある。
必ず全員を癒す、という意地が。
ここで引き下がるわけにはいかないのだ。
大きく息を吸い込んだ。
「 手入れ部屋にて手入れを行います！
少しでも怪我をしている人は教えてください！！
友達や兄弟が怪我をしている人も声をかけてください！！ 」
わっ、と大声を出した。
繰り返し繰り返し叫ぶ。
誰も聞いてくれないかもしれないけど。
「 どうか！手入れさせてください！！ 」
何度も何度も声を上げた。
でも誰の姿も見えない。
「泉、じゃったな。威勢がええのう。」
少しだけ心が折れかけたとき、誰かが現れた。
白い歯をニカッと出した特徴的な訛りの男の人だ。
「ちと手入れを頼めるか？」
「は、はい！勿論です！」
「わしは陸奥守吉行じゃ。何分初めての手入れじゃき、お手柔らかに頼むぜよ。」
陸奥守さんは屈託のない笑顔を向けてくれた。
それはもう、いい笑顔だ。
心が折れかけていた私は、よせばいいのにこんな質問を口走っていた。
「どうして…信じて出てきてくれたんですか。」
ハッとして口を押さえたけれど、時すでに遅し。
私の無遠慮な質問は陸奥守さんの耳に届いていたらしい。
「疑ってばかりじゃ何も始まらん。誰かが信じてやらにゃ、な。無論わしも誰彼構わず信じられるわけじゃないが、おまんなら信じるに値すると思うたんじゃ。」
信じるに値する…
信じるに値する…！！
どうしよう…嬉しい…！
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
