034号室 (GEN side) ページ35
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「GENさん？」
結構な音量で名前を呼ばれぼやぼやしていた意識をふっと戻すと、そこにはドアップで、眉間にシワを寄せるようにするAの顔。
「っ、え、……」
「いや、え、じゃないですよ。要件、なんですか？」
「……え？」
……要件？
あれ、っていうかそもそもなんで俺、こんなところにいるんだろう。
視線を宙に惑わせながら必死に回らない頭のまま考えていると、自分の右手がなぜか彼女の服の袖を掴んでいるのが確認できた。
「うわっ、え、……ごめん」
「……大丈夫ですか？」
「……うん、……え、まって、いやマジでなにしてんだろ俺」
「えぇ、……私が聞きたい、というか聞いてるんですけど、それ」
そんなことを言われても、自分でも訳が分からないのだから戸惑うしかできない。
記憶が無いわけじゃ、ない。
朝起きて、まだ7時じゃん、って思って、パーカーを羽織って……、Aが二日酔いだろうなって思って、それから……
「……なんですか？」
……無意識、だったんだろうか。
無意識に俺は、こんな所にいて、無意識にAのこと引き止めてたってこと、なのかな。
「……要件、もしかしてないんじゃないですか？」
Aはそう言いながら呆れるように、困ったように笑っている。
「……ない、んだけど」
「けど？」
いや、たしかにひとつあった気はする。
……でも。
「……うん。なんでもなかった」
「えーもう勘弁してくださいよ。こっちは二日酔いなんですから」
「ごめん、……」
ああほら。
そうやってちょっと怒ったように肩をすくめるその姿も、覇気のない目も、化粧っけがほとんどない綺麗な肌も、ほんのり赤く潤いをもった、唇も。
「……お大事にね」
見すぎるともう、どうにもいろいろ耐えられなくなりそうで、それだけ言ってまた逃げるように自室のドアを開けて中に入った。
─── たぶん俺、自分で思ってるよりも相当Aのこと、好きすぎなのかも。
その後すぐに「あ、代わりにゴミ出ししてこようかって言おうとしてたんだった」と思い出したが、また言いに行くのもなんだかアレだと思ったので、やめた。
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ちわわ - 初めまして！もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…？ (2022年6月3日 2時) (
レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 初めまして！とても素敵な作品ですね！続きが気になります！第2章のパスワードを教えていただけますか？ (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです！ (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして！素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです！ (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)
巻 - 好きです、でした、、汗 (2020年2月14日 1時) (レス) id: bbe11dd873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨムヨム | 作成日時：2019年9月11日 12時
