ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

14 ページ14

.



酷い頭痛で目が覚め、
ふと、サイドテーブルに置かれた紙と文言を見つけてしまった。




『……あぁぁ…。』

私は酒に弱い。
だけど、私の頭の中に消しゴムは存在しなかったらしい。



全部覚えている。
りんちゃんとご飯を食べに行ったことも、
酒に酔って泣きながら告白したことも、
素面の状態で聞くって言われたことも、



夢と現実の狭間に感じた、額への唇の感触も。






全部全部、私の頭の中に記憶されていた。





『……とりあえずシャワー浴びよ』

ひとまず心の整理をすべく、私は浴室へと向かった。







＊






幸いにも今日の仕事は午後からだ。
だから午前中にりんちゃんに連絡して昨日のことを謝ろう、でもなんて言えば……なんてモタモタしていたらもう既に時刻は正午。スタジオ入りは十三時。
あと三十分ほどで彼が迎えに来てしまう。



どうしよう、どうしよう。
答えは出ないのに、鼓動の速さはどんどん加速していくばかりで。






ーピンポーン




そんな私を一瞬固まらせたのは、インターフォンの音。
鳴らした正体は、やはりあの紫色のウルフカットの彼で。



まだ時間より早いんじゃ……と狼狽える私に
彼はこう放った。





｢…聞きに来たんだよ、早く開けろ。｣




私今日、仕事休みたい。




･

15→←13 side R

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す