帯刀“鶴丸国永”

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こんのすけから預かった刀帳をペラペラと捲り、誰を優先的に治すかを考える。


良くて中傷……か。
痛かったろうに。


「ん……？こんのすけ、これはなに？」


気になったのは刀帳番号130番。
号も何も書かれておらず、ただ、ただ黒く塗りつぶされていた。

「……！！これは…すみません、縁様。
私めにもわからない問題です。明朝、本部に帰って…！」


「待って！
この刀はいるの？存在する？なら行かなくていい、私が探す。」

こうなるまで放置していたお役所よ。そんな所に助けを求めたところでたかが知れてる。
給料貰って、涼しい場所でのうのうと…腹が立つ。


「先ずは……一期一振を治しましょうか」


「い、一期一振は比べて一番…！」

「元気？だからよ、取り敢えず中傷の子から元に戻していく。
重傷だなんて意識が朦朧としていて何をしでかすかわからないでしょ？
なら中傷でちゃんと意識のある者から治して、戦力にしましょう」





昔から、医療関係者になりたかった。
知識だけは備えていたけど、私の考えは変わらない。

手遅れな者を捨てるという考え方ではないけど、戦場だとどうしても人手が足りなくなる。故にマシな人から治して彼らを戦力に加える。技術がなくたって、血を拭うことは出来る、包帯を巻くことはできる。



「そうだ、こんのすけ？
霊力とやらは私にはどれくらいある？今の残りで何振り回復させられる？」


「え、縁様……本丸の掃除に霊力を使いましたよね。
良くて五振りでしょうか。」



「なら今日で十振りはいけるね。」


「正気ですか？！！！」




蘇る、背中を刺された記憶。






いえ、忘れてはいけない甘んじてしまった私の罰。

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