彼の変化 ページ23
泉 「普通ならねぇ。
でもそこまで急いでないし、
あんたバイク乗ったことないんでしょ？」
A「…何故それを…。」
泉 「くまくんが、
『Aはバイク乗ったことないから徒歩でお願い』
って言ってたの。
違った？」
A「いや、合ってます…。」
凛月そんなことまで知ってるんだ…。
泉 「あいつ、今年は去年よりもいきいきとしてるんだよね。」
A「…？」
泉 「丁度あんたの話が出てきたときから。
いつもレッスンだらだらしてたのに。
ライブでも機嫌良くて、ファンサービス連発してたからねぇ。
初めは俺やみんなも驚いてたよ。」
A「…家ではそうでもないのに…。」
泉 「それに最近、あんたと二人で登下校してるでしょ。
前まではそんなの有り得なかったんだよ。」
A「…え？」
私いつも送り迎えしてもらって…。
泉 「常に幼馴染みの背中に乗って、寝息を立ててたよ。
だからあいつが一人で教室に入ったときは
みんな驚いてたらしいよぉ。
でも、それなりに疲れてたみたいだけどねぇ。」
…そうだったのか…。
私、迷惑かけてたな…。
凛月の生活リズムを乱してたんだ。
泉 「でも、あんたのせいじゃないから、
勘違いしないでよぉ？」
A「…？」
泉 「別に、くまくんには体調崩せだなんて言ってるわけじゃないけど、
くまくんはくまくんの意思でそうしてるわけだから。
あんたが何も気にすることないの。」
A「…でも、私がいるから凛月は…。」
泉 「突然あんたがいなくなったら、多分あいつはアイドル辞めるよ？」
A「…！？」
泉 「Aが生きがいで、Aがいるから頑張れる、って言ってた。
それにねぇ、好きな子を守るのはKnightsの仕事でしょ。
Knightsじゃなくても、誰だって好きな子は守りたいし、
できるだけ傍に居たいって思うものなんじゃないの？」
…そうだ。
私だってそうだ。
凛月と離れたくないとか、真緒ともう少し話していたいって思ってしまう。
私と同じように、凛月もそう思ってくれてたのか…。
嬉しい。
泉 「余計な心配しなくていいんだからねぇ。
その代わり、家ではたっぷり甘やかすこと。」
A「…そうですね。ありがとう。泉先輩。」
泉 「…別に。」
…この人って…ツンデレか？
A「…泉先輩は、恋とかしたことあるんですか？」
泉 「ないんだよねぇ。」
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