逆転クオリア（短編集） (ページ34)

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「...A？大丈夫？」

「ん？あ、ごめん、思い出しとった」

「何を？」

「告白してくれた時」

交わることのないはずだった彼と付き合って
私の日常は一気に世界を変えた。

「色んなことあったなぁ、って」

「そやなあ、色んな思い出出来たな」

「ありがとう」

「こっちのセリフ！告白OKしてくれてありがとう」

正直流れに負けたみたいなとこはあったけど、
今となってはいい選択だったと思う。

「大晴くん、ん！」

「どしたん？」

「ん！！」

「え、手繋ぎたいん？！珍しいなAからって〜」

「...繋がんならええよ」

「嘘やって！！はいっ！」

暑い日差しが照りつける中、
手をつないで
どちらのとも分からない汗が混じる。

「好きやで」

「え、なんて？」

「なんもないです」

ふふっ、と笑ってから
俺は大好きやで！とニカッと笑顔を見せる。

あぁ、眩しい。

悔しいけれど、好きでたまらない。

きっと彼の輝きを間近で摂取してしまった
あの瞬間から彼の虜になっている。

だから
何があっても
私には大晴くんしか見えないのだ。

「よしっ、コンビニまで勝負しよ！」

「えっA？あと10mくらいやし、先行くんずるいって〜！！」

「負けたらおごりな〜！！！！」

fin.