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林檎を食べ終わった頃廊下がパタパタと騒がしくなってきた。
「そろそろ俺は帰ろうかな」
そう呟いて席を立った裕太の目がとても寂しそうに見えたからつい、
「…また、来てくれるよね?」
気づいたら袖を掴んで引き止めていた。
「え?あぁ、また来る」
少し驚いた顔をしていたけど、今度は満足そうに笑顔でそう言って手を振りながら出ていった。
と、ほぼ入れ替わりでお母さんとお姉ちゃんがやってきた。
「Aっ!目を覚ましたのね!」
「心配したんだからね?」
わたしを見るなりじんわり涙を浮かべて。
「え、わたし寝てたの?」
「そうよ、昨日のお昼からずっと目を覚まさなかったの」
そうだったんだ。
てことは、昨日のお昼に何かが起こってここに運ばれてきたんだよね?
一体何があったんだろうか、考えようとすると頭がチクリと傷んだ。
まだ今じゃない、本能的にそう感じる。
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あれから先生がやってきてちょっとした検査などをし、一息つける頃にはもう夜だった。
お母さんが、
「お腹空いたでしょ?林檎あるから食べる?」
って聞いてきた。
「いや、さっき食べたから平気だよ」
「林檎を?」
「そう、たまちゃんって男の子が持ってきてくれたの」
そう2人に伝えると頭にハテナが浮かんでいた。
「夢でも見てたんじゃないの?」
そういうことにしておいた方がいい気がした。
これはたまちゃんとわたしだけの秘密、その方がワクワクするから。
次がいつなのか分からないけど、たまちゃんに会える日が待ち遠しい。
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作者名:ビックリトマト x他1人 | 作成日時:2019年3月22日 12時