【wrwrd】相棒、そんじゃ今日もよろしく ２【男主】【gr】

７９． ページ30

俺の言葉に、グルッペンは傷ついたような顔をする。なんなんだ、その顔。イラつく。まるで、自分こそが被害者ですとでもいいたげな顔……。お前のせいだろ。全部お前のせいなのに。全部……。
でも、自分の不機嫌を全部こいつのせいにして、子どもみたいに泣いて八つ当たりしている自分がめちゃくちゃ情けなくもあって、俺はそのことに、すっかり打ちのめされてもいる。

「成瀬はどうしたんだよ」
「……あいつは今日、昼休みの直前に早退した。家の用事で」
「…………」

俺にとってはさして重要なことでもなかったが、近頃はどんなときでもベッタリ一緒のあの野郎が今日に限ってそばにいないことはちょっと不自然だったので、とりあえずそうたずねた。グルッペンの返事もなおざりで、俺たちはお互いに、それが今の本題ではないことを理解していた。

「……お前ってホント、やさしいよ」

あの日、俺たちが本心を、本性を交換し合ったあの日に、俺がこいつにいった言葉をつかって、俺がそういうふうにいったとたん、グルッペンは両目をみひらいて、苦しげな顔をした。

「自分が切り捨てた相手のことを、それでも心の底からは見捨てられないんだよな」
「……ち、違……」
「違わないだろ。お前はやさしいよ、マジで。だから成瀬のことも突っぱねられなかったんだろ。それともほんとに好きになっちゃった？ そうかもな。お前のことだから、同情だけでつき合うなんてことしねーよな。いいなと思ったんだろ？ あいつのこと」
「……A……」
「正直にいえよ。あいつが好きだって。俺のことなんかもう好きじゃありませんって。そしたら俺、すっぱり……」

勢いづいて、ひといきに最後まで言葉の刃を振りかざしてやろうとした俺をさえぎるように、グルッペンの両目から、ぼろ、と涙がこぼれた。

「…………！？」
「……っ、…………う」

──その姿を目にした瞬間、一瞬で動揺して、うろたえきってしまった俺をよそに、グルッペンは静かに泣きつづけている。声を上げないようにこらえているようだが、嗚咽がところどころあふれ出ていて、それがよりいっそう悲愴感を際立たせた。

「……おっ、お、おま……」
「うう……っ、うっ、…………！」

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