６９． ページ20
「どういうって」
「あいつ！ 成瀬だよ！ なんなんだよ、つき合うって！」
「だから、それは……その……」
グルッペンはものいいたげにそう口にしてから、それでもやっぱり気まずそうに口を閉ざして、黙りこくってしまった。昨日からずっとこうだ。いいたいことがあんなら、さっさといえよ、という悪態が、喉もとの寸前まで出かかっている。グルッペンが困ったような顔をしていることが、かろうじて俺にブレーキをかけていた。こいつは、理由もなくいい淀むような男ではない。そのことはわかっている。わかっているが、気に入らない……納得できない……。
「……いえないのか？」
「…………」
俺がそう念を押してさえ、黙ったままでいるグルッペンに、いよいよ我慢の限界が来た。
「……なんでいえねーんだよ！」
衝動のままそう怒鳴って、バン！ と大きな音を立てて机を叩く。グルッペンがびくりとおどろいたようにからだをふるわせたが、それはグルッペンだけではなく、俺たちのまわりにいたやつらも同様だった。クラス中が、なにごとだといわんばかりに俺たちを注視している。悪目立ちしていたが、俺ははっきりと苛立っていて、そのことに配慮しようなどとはとうてい思えなかった。
グルッペンは、どことなく憔悴しているようにもみえる。さっきまでは、そういうつらそうな顔にわずかばかりの同情を覚えていたのに、今の、すっかり頭にカチンと来ている俺は、そんなグルッペンに対して、被害者ヅラしやがって、と、八つ当たりじみた感想しか抱けない。違う。そんなことをいいたいわけじゃないんだ。だが、だが……。
「おいおい。危ないことするなよ」
あきれた態度を隠そうともせず、俺たちのあいだに成瀬が割り入ってきた。こいつの登場はいつも唐突で、強引だ。
「困るよ。いきなり絡まれちゃ。ほら、まわりもびっくりしてる。どうしたんだよ下山」
「どうしたもこうしたもねえ！ お前……お前だよ！ お前、なんなんだ！」
「なんなんだって……」
俺がそう怒鳴っても、成瀬はいっさいこたえたようすなく、平然としている。そうして、あまりにもあっさりと、そのひとことをいった。
「グルッペンの彼氏だけど」
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
