【wrwrd】相棒、そんじゃ今日もよろしく ２【男主】【gr】

５１． ページ2

白石や小泉が気を利かせてくれたのだって、きっとそういうふうに思ってのことだったに違いない。ただ、あいつらには、このサッカー部に感じるような、気色悪さはなかった。あいつらにはそういう嫌味さはない、単純に、よかれと思って……、俺たちのことを思ってやっていたのだろうと、なんとなくだが直感している。あいつらにそんな意地の悪さはない。……だが、こいつにはある。
気に入らないし、……腹立たしくてたまらない。こいつの意地の悪さや醜さ、……そして、まんまとその標的になっている自分が。

「あっ、おい、どこ行くんだよ。もう消灯だぞ」

耐えられず、俺は部屋をあとにした。俺の行動に焦ったようすのサッカー部にはこたえず、俺は無言で下の階へ降りる。このホテルには、一階に庭があって、夜はライトアップされた状態で、誰でも入れるようになっている。零時を過ぎると施錠されるらしいが、どうせそれまでには部屋に戻らなくてはならない。そう長いこと、ホテル内をさがしまわる先生たちをあざむいてはいられないだろうから。
ただ、少しのあいだひとりになりたかった。それだけだ。
座りこめる大きさの石に腰かけて、しばらくぼうっとしていた。ライトアップされた夜の花々はきれいで、その力強さが妙にこたえた。ライトに照らされて堂々と咲く花々に、俺にはない勇気や強さをみてしまったのかもしれない。
たかが、「そういう仲だろう」とからかわれただけで、なぜこんなにもショックを受けているのだろうと、自分で自分にあきれかえってしまう。なぜなんだろう。
俺は、恋とか愛とか、それにともなう欲望とかいうものを、信用していない。嫌っているといってもいい。そしてそのことは、グルッペンにもいってある。さらには、あいつも俺と同じように、そういうものをあまり信用していない。クソみたいな両親──働いてはいるが、ダメな親父に惚れこんで、人生をめちゃくちゃにし、子どもの人生すらも巻きこんでいる母親と、仕事もせず子どものめんどうもみず、日がな一日ぼけっとして、たまに暴力も振るうクソ親父──を近くでみていたからもあるし、今まで俺に告白してきた女の子たちが、俺がそれを断った瞬間豹変して攻撃してくるのを、何度もみてきたせいもある。
恋というのは、厄介だ。そしておそろしい。それがかなわないとわかれば、人は容易に誰かを、なにかを攻撃しようとするし、それをかなえるためには、多くのものを犠牲にしてかまわないと考える。

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