【wrwrd】相棒、そんじゃ今日もよろしく ２【男主】【gr】

５０．　──第四章　修学旅行編　Aパート　続き ページ1

ホテルはそれなりに立派だった。
夕食はバイキング形式で、席も自由だったので、例によっていつもの四人で一緒の席に座った。めずらしいことにグリーンカレーなんてものがあり、俺がそれを食うさまを残りの三人が楽しそうにながめていやがったり、グルッペンがデザートのケーキを無限に食っていたりして、楽しい夕食だった。だが、夕食が終わってしまうと、とたんに気が重くなる。
宿泊班に割り当てられた部屋に戻ると、そこにはすでに残りの全員がそろっていた。例のサッカー部と、そいつと仲のいい、俺よりタッパがあってデカいやつ。それと、なんでこのメンツに加わっているのかわからないような、おとなしくてあんまり話したことがないやつ。
俺はなにもいわず、部屋につくや否や自分のベッドに寝転んだ。愛想をよくする必要も特になさそうだと判断して。

「ほんとにベッド交換しなくてよかったのか？」

サッカー部が、顔をみなくてもわかる、いやらしくにやけた声で俺にそういってくる。俺はベッドに寝転んだまま、「いいよ別に」とこたえた。それがあまりにそっけなかったせいか、サッカー部は「あはは」と当てつけるように笑う。

「まあでも、お前らはいざとなったらベッドひとつでいいだろうしな。いいぜ、深夜に部屋抜けてっても。うまくごまかしといてやるから」
「……はあ？」

わけのわからないことをいうな、と思って、思わず身を起こしてサッカー部をみる。サッカー部は想像通り、ニヤニヤと下品な含み笑いを浮かべて俺をみていた。隣のタッパがあるやつは、一見して我関せずといった態度だが、止める気もなさそうだ。もうひとりのおとなしいやつは気が小さいのか、一触即発の雰囲気に耐えられないようで布団をかぶって壁際を向いて寝ていた。
……いくらなんでも、そんなあからさまな揶揄を向けられて、その意味に気づけないほどの鈍感ではない。
なるほど、と合点が行った。それまでのすべてに。まわりのクラスメイトたちが、俺たちのことをどう思って、どういうつもりでからかっていたのか。あいつらは俺たちが、そういう意味で親しいと、彼氏とか彼女とか、そういう関係みたいに仲がいいと思って、からかっていたのだ。そして、グルッペンはおそらくそのことに気づいていた。いつだったかあいつが、まわりの態度を不思議に思った俺に、「気づいてないならいい」といっていたことを思い出す。あのときにはすでに、気づいていたんだろう……。

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