２６． ──第二章 体育祭編 終 ページ27
グルッペンがいたずらっぽい顔で、挑むように俺にそういってくる。んなわけはない。お前と踊れるならほかの誰と踊れなくたってかまわない。フォークダンスが嫌いという俺のこの信条さえ捨てたってかまわないくらいだ。だがそのことを正直に打ち明けるのもはばかられた。なんでって、……なんかいいづらかったからだ。
「いや、嫌じゃない、そういうわけじゃないが」
「じゃあいいだろ。ほら、俺が女役をやってやる。俺には手に負えないからな、お前のエスコートなんか。気色悪いし」
「誰が気色悪いんだよ！」
「だから俺がやってやるっていってるだろ」
「…………」
そういって、どんどん校庭の中心に歩みを進めるグルッペン。俺はその背を追いかける。グルッペンは人混みの中で立ち止まり、振りかえった。俺は観念して、目の前のうつくしい男に手を差し伸べる。
「……わかったよ」
「挨拶は？」
「……お手をどうぞ。お姫様」
「おい。そこまでしろとはいってない。んな気色悪い扱いは今すぐやめろ」
「おーおー、うちのお姫様はじゃじゃ馬ですねえ。せっかくだからとことん目立ってやるぞ、なあキレイな姫様！」
「わーッ、お前っ、目立つようなことするな！ そういういい方もやめろ！ くそっ……、この野郎！」
こんなの、俺がグルッペンを引っ張って振りまわしてるだけだ。でも楽しかった。グルッペンも、口では悪態をついているが、顔はずっと笑っていた。俺が嫌いなつくり笑いじゃない。ちゃんと、思ったまま、素のままの、『楽しい』って顔で。
きれいだ、と思った。冗談でもなんでもなく。その、素直で正直な、心のままの表情こそが、俺にとって一番の宝物であるような気がする。
俺が本当にほしいものっていうのは、たぶん、その宝物なのかもしれなかった。
俺は、素直なお前の、きれいなままの心をながめて愛でる。そうして、俺たちはふたりで、ずっと踊っていた。
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エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……（真顔）。ありがとうございます！続編もよかったらよろしくお願いいたします！ (2019年10月21日 22時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます＞＜ｗｗｗ高校生らしいお話書けていたらいいな！と思うので天使といっていただけてうれしいです！高校生って天使のようなかわいさ！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます！ｗｗｗしかと受け止めました！！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます！！grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……！続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます！ (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月20日 2時
