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25. ページ26

フォークダンス。男女が一組になって、思い思いに踊る、プログラム終了後の余興だ。俺はこのおまけにまったくいい思い出がなく、それはグルッペンも似たようなものらしかった。なにしろ、うちの中学には、体育祭後のフォークダンスで一緒に踊った人と結ばれる、なんていうめちゃくちゃお花畑ないい伝えがあって、それの余波を受けてあらゆる女子が俺のところにつめかけてきたのだ。男子には反感を買ってしばらくシカトされたし、女子のあいだでも揉めごとがあったらしいし、とにかくろくなもんじゃなかった。
体育祭が終わったあと、俺とグルッペンと、小泉と白石といういつもの四人で、俺たちは校庭の隅にいた。誰の目にもつかない、特等席だ。遠くからようすをみている女子っぽいのは何人かいたが、んなもんシカトだシカト。
グルッペンは例の女嫌い宣言がよっぽど効いているらしく、遠巻きにみているやつはいても声をかけてくる女子は全然いなかった。俺はといえば、適度に声をかけられて、適度に誘われている。全部断っているが、いい加減白石と小泉が辟易しているっぽい雰囲気がある。

「お前モテるよなあ」
「嫌味なくらいにね」
「いやいや、マジでめんどくさいんだって」
「彼女つくらねーのかよ。お前」
「マジでそういうの興味ねーの!」
「贅沢もんが……」

小泉はそういって俺をにらむが、まあ冗談の範疇だろう。嫉妬がゼロとはいわないが。俺に対して本当に、強く嫉妬しているやつのことは、直感ですぐわかる。

「なんならフォークダンス、俺たちで踊るか?」

小泉が唐突にそう提案する。白石は「ええ!?」と仰天していたが、グルッペンは「あははっ」と笑って、いいかもな、とその提案を肯定していた。お前そういうのいいんだ。そうなんだ……。俺はグルッペンのその反応に、なんとなくショックを覚える。なんでだ。

「ほらお前行ってこいよ。どうせグルッペンがいいんだろ?」

そういって小泉は俺の背を押して、グルッペンのほうに寄せた。俺はびっくりして、小泉のほうを振りかえる。

「はっ、えっ、ちょっ、なんで」
「なんだ、A。お前、俺と一緒に踊るのは嫌なのか?」

26. ──第二章 体育祭編 終→←24.



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作品ジャンル:恋愛
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エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……(真顔)。ありがとうございます!続編もよかったらよろしくお願いいたします! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます><www高校生らしいお話書けていたらいいな!と思うので天使といっていただけてうれしいです!高校生って天使のようなかわいさ! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます!wwwしかと受け止めました!! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます!!grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……!続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます! (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エス | 作成日時:2019年10月20日 2時

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