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15. ページ16

「お前と白石は気が重いんじゃねーのか?」

俺がからかうようにそういうと、グルッペンは案の定ギロリと、鋭い目つきで俺をにらんだ。うう、俺はその目に弱い。本気ではないだろうと文脈からわかるシーンだったとしても、美形の不機嫌な顔には有無をいわさぬ圧力がある。にらまれた瞬間ちぢこまっておとなしくなった俺に、グルッペンはごほんと咳払いをした。

「──俺は、やってやろうと思う」

……嫌な予感がする。
こういうときのグルッペンは、けっこう、とんでもないことをいいがちだ。
そのことを知らない白石と小泉は、「なにを?」とのんきにグルッペンにたずねている。

「体育祭を、中止にさせるんだ。デモをして。生徒を集めて」

……しばらく、俺も、小泉も白石も黙っていた。グルッペンのいっていることの意味がよくわからなかったのだ。だが、一拍置いてその意味を理解した瞬間、俺はおどろきにつつまれた。……デモ!? 学生の俺たちが!? 学校に対して!?

「──なんだそれおもしろそう!」
「うわ出た……」
「下山は絶対そういうと思った……」

理解した瞬間、そう反応した俺に対して、小泉と白石が辟易した感じでいう。俺の反応までわかりきってましたって感じだ、伊達に毎日昼飯を一緒に食ってない。
グルッペンは重ねて説明する。

「みんな、学校側のいうままに唯々諾々と従っているが、実際のところ体育祭ってのはかなり差別的な行事だぞ。運動能力にはかなりの個人差があって、生まれつきの要因も無視できない。それなのに、運動神経がよければ活躍できて評価されて、悪ければ活躍もできず評価ももらえず日陰にいるしかないというのは、それ自体が差別的なんだよ。俺はそれが許せないだけだ」

なるほどね。確かに、グルッペンのいいぶんにも一理ある、と俺は思う。小泉も、複雑な顔をしてはいるが、グルッペンのいわんとすることは伝わったようで、うーんとうなりながらうなずいている。白石はむろん、グルッペンと同じく運動が不得手な側なので、うんうんその通りだと勢いよくうなずいていた。

「確認するけど、別に冗談でいってるわけじゃないんだよな?」

小泉がそういって、グルッペンをみる。問いのかたちではあるが、実際のところ、小泉はグルッペンがなんと答えるかわかっているのだろう。あくまで確認というていってだけだ。グルッペンは悪びれず、「ああ」と鷹揚にうなずいた。

16.→←14. ──第二章 体育祭編



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作品ジャンル:恋愛
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エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……(真顔)。ありがとうございます!続編もよかったらよろしくお願いいたします! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます><www高校生らしいお話書けていたらいいな!と思うので天使といっていただけてうれしいです!高校生って天使のようなかわいさ! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます!wwwしかと受け止めました!! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます!!grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……!続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします! (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます! (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エス | 作成日時:2019年10月20日 2時

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