検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:5,937 hit

血塗られた時間 ページ4

二年余りが経った頃に彼は、私に対してぽつりと小言の様に漏らした。
その言葉、今でも鮮明に覚えている。

「俺は教える事も全て教えた。
君を正式に迎えたいがそれは国が許さない。
この戦争がいつ終わるかもわからない。
でもいつか始まりには終わりもつくのだから。
君は君の人生を生きてくれ。
いつになるか分からないけど迎えにいくから、君はそれまで幸せな道を歩んでいってくれよ。
その時にはたまに俺を思い出していてくれ」

そして私は否応無く自国へ帰った。
だが、最下カーストに戻る訳にはいかない。
幸せになると言う約束を守る為には、金と高い地位が必要だ。
対して景気が良い訳でも無い、こんな時に商売始めるのは馬鹿が見る結末だ。

金と地位、手っ取り早くその二つを手に入れる方法。

兵士になる。
どうせ、“迎えに来る”なんて有り得ないのだから、と考えての結論だ。

まぁ、兵士になれるのは男性だけである。
社会的地位も何から何まで男性が上。
だが、これ以外の手は思いつかず、自慢であった髪は切りズボンを履いた。
バレない為にも口調も気をつけた。
世にいう、男装、と呼ばれるものだろう。

入隊してから何年間過ぎたのだろうか。
まともな地位と、少しは貯めた金。
望んだ事の筈だった。
だが騙しながら生活するのは、
幸せに暮らす、と言う約束から
いつの間にか遠く遠く離れていたのだ。

そして事態は刻一刻と変わっていた。
勿論、悪い方向へとだ。


戦争が始まった。

血塗られた暗翳→←血塗られた約束



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.3/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:戦争 , オリジナル , 死ネタ , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

誰かさんの裏垢(プロフ) - アイカさん» 読んでくださりありがとうございます。頑張るので他の作品も読んでください。よろしくおねがいします。 (2018年5月21日 20時) (レス) id: a5f07e3e68 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 感動しました!これからも頑張ってください! (2018年5月21日 16時) (レス) id: c5df0e4c03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:誰かさんの裏垢 x他1人 | 作成日時:2018年5月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。