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『貸してみ、俺やるよ』
「へーめずらし」
『まぁたまにはな？」
いつものようにくだらない会話を交わしながら朝食を食べ終わって、片付けようとシンクに向かえば手に持ったスポンジが後ろから奪われた。
機嫌がいいのか、鼻歌を口ずさみながら洗い始める姿を隣で見つめる。
『なんだよ、そんな見つめて！優太くんかっこいい〜って？ 』
「そんなこと誰も言ってないし。優太くんとか呼ばない」
わたしがそう言うと、ふと、手を止めた岸は
『呼んでくれねえの？ 』
と。珍しく真面目な顔で言うから。
「なんで？」
『いい加減、優太って呼んでほしいんすけど 』
耳を少し赤くして言うものだから、思わずわたしまで照れてしまう。
呼び始めるなら、今が最適な機会だとは思うけど。なんせわたしは素直ではない。
「やだよ」
『俺もやだ。いつまでも岸って呼ばれても困るじゃん、いろいろと』
「いろいろって？」
『だってお前も岸になるかもしんねえし』
そんなことを何の戸惑いもなく言えてしまうコイツが憎らしい。
だけどこの迷いのない真っ直ぐさが、どうしようもなく好きなところで。
『な、試しに呼んでみて！1回だけ！』
「なんでそんなこと…」
『いいじゃん1回ぐらい！ほら』
食器を洗い終わって手のあいた岸に引かれるとシンクにもたれるように立たされて、両サイドを岸の腕で塞がれた。
『早く呼ばねぇと遅刻するぞ』
「…岸のせいじゃん」
『岸じゃなくて！ 』
今日の岸はなかなかしつこい。
これは本当に呼ばないと離してくれないと悟って。
「…………ゆうた」
初めてその名前を口に出した。
呼ばせた当の本人はしばらく無反応で。
「岸？」
「ゆうたくーん？……っわぁ、！」
『ヤバ…』
合わせてくれない目を無理やり合わせれば、腕を引かれて抱きしめられる 。
『心臓に悪いからやっぱまだいいわ』
「なにそれ」
『あー好き！マジで好きだわお前のこと！』
ちゅっと可愛らしい音を立てて唇が触れて。
「単純」
わたしがそう言えば、優太は幸せそうに笑った。
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倖 - どひゃー！！更新ありがとうございます！！岸くんとこんな放課後を過ごせる人生に生まれたかった… (2019年5月1日 0時) (
レス) id: 825a5581ca (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 倖さん» ありがとうございます〜！まだまだ更新予定のお話もたくさんありますのでぜひ楽しみにしていてください！ (2019年4月30日 13時) (レス) id: 7538cd8bd5 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 夏美さん» お返事遅れてしまい申し訳ありません(>_<)ツボだなんて嬉しいですありがとうございます…！マイペースではありますがこれからも読んで頂けると幸いです！ (2019年4月30日 13時) (レス) id: 7538cd8bd5 (このIDを非表示/違反報告)
倖 - 一気に読みました…岸くん素敵すぎる!!!更新超絶待機してます!!! (2019年4月15日 3時) (レス) id: 825a5581ca (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 1作目と2作目一気に読んだのですが、なのさんの描く岸くんがめちゃくちゃツボで好きです！続きも楽しみにしてます！ (2019年3月20日 16時) (レス) id: a623f727bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なの | 作成日時：2019年3月19日 20時
