同行-影 ページ2
｢…と！いうことで行きましょうか田噛さん！｣
向かう先は花の街、…いわゆる大人の街｡潜入調査をする必要があるから準備をしてくると言って､戻ってきたのは町娘。
…の格好をした逸色さん。面影があるし声がそうだからわかる｡けどどうしてそうなった。
｢同行ってそういう？？？｣
｢え？あ､説明してませんでしたね｡僕達は二人一組で今回の任務にあたります。田噛さんは外部調査､聞き込みですね｡そちらを行ってもらいます｡｣
自分の格好が当然のことであるように､逸色さんは話を続ける。
…正直､頑張って話を聞こうとはしているけれど､女装をしている事実が気になってそれどころじゃない。
｢気になってるみたいですね！ちなみに僕が女装しているのは内部調査のためです｡柱が出る必要はあるけれど､唯一の女性である
｢…いや､普通に女性隊士を連れていけばよかったじゃないですか｣
純粋にそう思った｡わざわざ逸色さんが､動きづらい女装をしなくたって､女性隊士か､長い時間接してきても未だに性別の分からないAさんのようなひとを連れていけばよかったんじゃないか？
｢そう､僕もそう思って普通に女性隊士に声がけしましたよ｡でも、誰一人として首を縦には振りませんでした｡｣
どうして、と言おうとして､異形の館での惨状の光景が蘇った。
｢…そうです､
｢……それで､俺のところに｡｣
そういうことです と真剣な表情で締めたあと､まあ女装はちょっとした趣味のうちでもありますからあんまり気にしないでください！と笑ってみせた。
｢ええと､じゃあ俺たちだけで花の街の調査と鬼の討伐を行うんですね？｣
｢え？｣
キョトンとした顔をされてしまった。いや､え？じゃないんだよなぁ｡
この流れだとどう考えても俺と逸色さんの二人だけでの任務だと思うじゃん｡
｢あー…そういえば言ってませんでしたね〜｡
ゆめみさんと明坂さんとで､僕達と同じやり方で調査をしてもらいます｡｣
｢………え？？？？？｣
…いや､同じやり方って、一体どちらに苦行を強いるつもりだ､この人……？
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作者名：時坂豆腐 | 作成日時：2021年8月18日 22時
