昔話 2 ページ17
「狼じゃねェ…俺は犬だ」
「まァ、犬っても見ての通り、人間にもなれる。ヒトヒトの実を食ったんでね」
「気色悪いだろ？知ってるよ、だから群れから見放されたんだ。勿論、“こんな”見た目で人里に行けるなんて思ってねェよ。気配で分かるけど、俺、目も見えねーし」
口調はまるで、少女の言葉遣いそのままだった。
笑顔で言うようなことじゃないのに。
“人”になれるが故に動物から嫌われ、“犬”なのに、“狼”に見える容姿のせいで人間にも嫌われるだろうと言う。
＿＿＿＿＿＿＿＿嫌われることに慣れた目
＿＿＿＿＿＿＿＿理解されることを諦めた笑顔
「俺さァ、楽しかったんだ。お前に会えて」
「初めて人の言葉を理解できて良かったって思った」
「あァ、俺、この人に会う為に生まれてきて、この人に寄り添うために動物になって、この人の話を聞くために人間になれるんだって思った」
「お前さ、ぜってー、幸せになれよ、なれるよ。俺が保証する」
「んで、もう二度とこんな獣臭ェとこ来んじゃねぇぞ」
「お前はさ、俺みたいな半端モンじゃなくて、“人間”に愛されるために生まれてきた人間なんだから」
野生的な顔に似合わない、蕩けるような表情で笑う。
『やめて』
悔しいなァ、自分が。
『その顔、やめよ』
私が生に希望を失っている間、それ以上の時間この子は全てを諦めていた。
『やっぱりさ、私と来いよ』
私も確かにへこんでたさ。
でも私はお前と違って外の世界を知ってる。
生きることの楽しさを知ってる。
『最初はビビってもいい』
ミンクも知らねーやつらにボロカス言われたからってなんだよ。
お前より変な見た目の愉快な奴、星の数ほどいるんだぞ。
『私と一緒に来い』
お前が私にしてくれたみたいにさ。
『私がお前を“大丈夫”にしてやる』
今まであんなだったけど、それまではすっげぇ人生楽しかったんだ。
『2人でさァ、私たちを幸せにしよ』
何より私がお前と一緒じゃなきゃヤなんだよ、って。
絶対、2人なら大丈夫だ、って。
自己満足の恩返しのつもりだったのかもしれない。
それでも少女は強引に腕を引き、二人でこの島を出た。
少女は彼に、“アイズ”という名前をつけた。
彼がもらった初めての“贈り物”だ。
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無礼物(プロフ) - Rin'lanさん» ありがとうございます〜！！続きは修正中だから非公開にしてて、修正できたものから公開するようにしてます…！申し訳ないです。かなり遅いんですけどちまちま更新するので良ければ気長にお付き合いください！ (3月6日 5時) (
レス) id: 64341fbe5a (このIDを非表示/違反報告)
無礼物(プロフ) - 楽さん» ありがとうございます！！続きはあるんですけど手直し中でボロボロの状態なのでもう少しお時間頂きたいです…！すみません！楽さんのコメントでそのことをどこにも書いてないことに気づきました…！！書いておきます！本当にありがとうございます！ (3月6日 5時) (レス) id: 64341fbe5a (このIDを非表示/違反報告)
Rin'lan - めっちゃ面白いです！…続きってどうやって見るんですか？ (3月4日 15時) (レス) id: 3767ef094f (このIDを非表示/違反報告)
楽(プロフ) - シリアスな場面？で夢主ちゃんよく生きてきたなって思ったり他のところでのキャラとの絡みとても面白かったです。続きが気になるのでパスワード？教えて貰ってもいいでしょうか？お願いします！これからも投稿頑張ってください！ (3月3日 22時) (レス) id: 70f56a71ba (このIDを非表示/違反報告)
無礼物(プロフ) - 名無しさん» うわー！ありがとうございます！！すごく嬉しいです〜！ (2月28日 1時) (レス) id: 64341fbe5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無礼物 | 作成日時：2018年2月18日 22時
