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▽ ページ36
「全然大丈夫だけど……。てかマスク珍しいね？厚着だしやっぱり体調悪いの？」
「っあー、若干風邪かも。ちょっとだけ咳出るから一応ね。」
見慣れないマスク姿にそう聞くと風邪だと言われたが、なぜか一瞬焦ったように見えてモヤッとする。
伊野尾くんは家でご飯を食べてきたというが、俺はもともと伊野尾くんとシェアしようと思って唐揚げ定食を頼んでいた。
最近急激に痩せた伊野尾くんに対してご飯をあまり食べていないのではないかと疑っていた俺の軽い賭けだ。からあげは伊野尾くんの好物だし、今までだったら「1口ちょーだい」といつも強請ってきたのだ。
「伊野尾くん、からあげ1つあげるよ。」
俺の言葉に軽くビクッとした伊野尾くんは、「昼食べすぎてお腹空いてないからいい。」と返事した。正直、予想通り。
今までの伊野尾くんだったらお腹いっぱいでもニコニコして食べるし、1口どうぞを断ることはなかった。
「1つくらい余裕でしょ。美味しいよ？」
食い下がらない俺に対して迷ったような困ったような顔をしてから、おずおずとマスクを外した伊野尾くんに、俺は目を見張った。
「……え、なにそれ、どうしたの……？」
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