混ぜたらなにいろ？ (×in) (ページ34)

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『嫌いになったわけではない』。その言葉にひとまず安心した。理由は話してくれなそうだけど、それが知れた事が嬉しかった。

伊野尾くんの涙が止まるまで背中を優しく摩り、頭をぽんぽんと撫で続けた。しばらくして落ちついた彼は、目がうるうると赤くなってしまっていて不謹慎にもドキッとしてしまった。

「あー、ハンカチでも持ってればきまったのにな。ごめん、デキる男じゃなくて。」

俺の言葉に少し微笑みながら頭を振って否定してくれて、久しぶりに笑顔が見れてホッとした。先程よりは少しだけスッキリした顔になっていてよかった。

「たかき、ほんとにごめん。明日からは……普通にするから。恥ずかしいとこ見せちゃった……。本当に嫌いになったとかじゃないから……絶対。」

結局避けていた理由は話してくれなかったけどこれ以上聞くこともできず、今日のところはとりあえず十分だと思い久しぶりに2人で駅まで帰った。

明日からは普通に……と言っていたし。今いきなりいろいろ聞きすぎるのもよくないだろう、そう思っていた。

まさか、俺が無理に話しかけたせいで伊野尾くんを傷つけることになったなんて、このときは考えてもいなかった。