混ぜたらなにいろ？ (×in) (ページ33)

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どのくらい時間が経っただろうか。実際には1分くらいの短い時間だったのかもしれないが、俺にはこの沈黙がとてつもなく長いものに感じた。

伊野尾くんの手を握り祈るような気持ちで見つめていると、口をはくはくと動かして、またキュッと閉じてを繰り返していた彼の目から1粒の雫が流れ落ちた。

それは1粒流れ出すと次から次へと溢れ出てきて、俺は慌てて目尻を親指で拭ったがそんな行為が無意味なくらい泣いてしまっている。

「い、伊野尾くん……。ごめん、ごめん。無理に話させようとして……、」

初めて見る伊野尾くんの涙に焦ってしまい、なんとか慰めようとするが何も出来ない。
伊野尾くんは涙を流したままブンブンと頭を横にふり、やっと俺の方を見てくれた。

「っちが……、たかきは悪くない、おれが勝手に避けて……ごめんなさい……、俺っ……」

久しぶりに聞けた伊野尾くんの声に少し安堵して、声が詰まってしまった彼の頭をそっと撫で、次の言葉を待つ。

「ほんとっ……ごめんなさい、たかきのことが嫌いになったとかじゃなくて……、俺、ひどいこと……」

「っ伊野尾くん、大丈夫。……俺の事嫌なったわけじゃないんだね…………よかった。」