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宮近さんとダンスの話に夢中になっていたら、
中村さんのいつもより低い声が聞こえてきた。
海人「なんか2人近くね？」
私でもわかる不機嫌そうな顔。
なにがそんなに気に触ったのかわからない。
なんか言わないと...そう思った矢先。
しめ「ねぇ、大富豪やろーよ」
七五三掛さんが唐突にそう言い出した。
川島「あ、いいね！」
宮近「やろやろ」
元太「あー、その前に！」
ピンッと手を挙げて、はいはいって声を上げた元太くん。
元太「ちゃかとのえるの間はずるいから、Aちゃんこっち」
そういわれて半強制的に座らせられたのは、元太くんと中村さんの間。
お手洗いから戻ってきた吉澤さんは強制的に私が元いたところに座った。
隣に座ると自分が膝にかけていたブランケットを広げて、私の膝にすっとかけてくれた中村さん。
まだちょっと不機嫌そう。
海人「てかさ、俺トランプ持ってないよ」
しめ「え？」
七五三掛さんが本気でショックそうな顔してて、おもわずみんな笑ってしまった。
結局トランプなくてみんなで映画見ることになって、
映画が始まったらみんな喋らずに真剣に見ていたから
私も結構入り込んでたんだけど。
ちょっと腰が痛くなってきて座り直そうとした時に
ブランケットの下で手が中村さんの手に当たってしまった。
慌てて引っ込めようとしたら、指を掴まれて、
すっと指を絡められて、手を繋がれた。
「え...」
びっくりして声が出てしまった。
川島「ん？どした？」
「ううん、なんでもないです」
どうすればいいのかわからなくて、大人しく握られたままにしてたけど、
中村さんの大きい男らしい手のせいか、見つかったらどうしよってひやひやしているせいか、無性にドキドキしちゃって、映画の内容なんて途中から頭に入ってこなかった。
テレビを見つめたまま表情ひとつ変えない中村さん。
たまに親指で手の甲をとんとんってしてくるから、ちらっと隣見てみたけど知らん顔をしていた。
30分くらい経ってやっと冷静になってきて逃れ方を考えた。
「お手洗い借りていい？」
海人「どーぞ」
すっと手を解放してくれた。
顔も見れなくてそそくさとお手洗いに入ってドアを閉める。
「なんなの...」
うるさくなってる心臓。
こんなことでどきどきしてる自分も馬鹿らしいけど、中村さんも中村さんだよ。
なに考えてるのかわからない。
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作者名：guminchu | 作成日時：2021年3月6日 1時
