62 ページ12
どれくらい時間が経ったのかわからない。
ふと我に返って部屋の明かりもついていないことに気づいた。
電話がなった。
"松田元太"
って表示された着信の画面をただ見ていた。
しばらくして不在着信1件の通知に切り替わった。
なんて言えばいいの。
かっこよかった、きらきらしてた。
でも、それだけじゃなかった。
知りたくなかった。
あんなに眩しい存在だって知りたくなかった。
重たい手でスマホを握って、電話をかけ直した。
元太「もしもし！なんで途中でいなくなっちゃったの？終わったあとご飯でも行きたかったのに」
なんて言おうか、考えていた。
元太「Aちゃん？もしもーし、聞こえてる？」
「聞こえてるよ」
元太「...どうだった？俺」
「かっこよかったよ」
元太「ほんと？嬉しい、なんか照れる」
「きらきらしてたね」
元太「...Aちゃん？どうしたの？」
「え？」
元太「元気ない」
元太くんはいつも気づく。
悲しい時、辛い時、しんどい時。
どんなに平気を装っても気づいてくれる。
今も。声だけなのに。
「そんなことないよ、」
元太「嘘つき、今どこ？家？」
「...ごめん、切るね」
ちょっと待って、って元太くんの聞こえたけど、聞こえないふりをして電話を切った。
今からでも遅くない。
知り合う前に戻るだけだ。
近づきすぎてしまったから、
離れなきゃ。
そんな考えで頭がいっぱいになった。
とりあえず連絡先消さないと。
そう思ってスマホを開いたけど、
なにか一言断ってからの方がいいんじゃないか
急に連絡しなくなったら心配かけるんじゃないか
余計な考えばかり浮かんでくる。
「どうしよ...」
手の甲に水滴が落ちた。
あぁ、泣いてるんだ私。
誰かを思って泣いてるんじゃなくて
なんだか悪いことをしてしまったような気がして、
大勢の彼らのファンのことを欺くようなことしてるんじゃないかって思えてきて
罪悪感で苦しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 679人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「TravisJapan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：guminchu | 作成日時：2021年3月6日 1時
