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結局、あの日は家に送り届けるまで元太くんは至っていつも通りで。
私、この人に"告白"されたんだっけ。
って何回も思ったし、しばらく経った今も思ってる。
元太くんなら全人類大好きとか言いかねなさそうだし
もしかしたら違う意味だったのかも。
なんて都合良いこと考えてみたけど、好きと言ってくれた時の元太くんの真剣な目が頭から離れなかった。
元太くんも忙しいのか、また行きたいって言葉は社交辞令だったのか、LINEのやり取りはしてるけどあれから2人で出かけたりはしていない。
なにか変わったことと言えば、
私がYoutubeでTravisJapanの動画を見るようになった。
ついこの間暇なときに出来心で"TravisJapan"って調べてみたら、まさかのジュニアチャンネルがあって、
動画が思っていたよりもずっと面白くて、それから暇があれば見るようになった。
5月に入って桜も散ってきた。
講義室から窓の外をぼけーっと見ていたら、いつの間にか講義も終わっていた。
教授が講義室から出る時に
教授「現を抜かしてる場合じゃないぞ、3年生なんだから就活も初めていかないと」
って吐き捨てていった。
"就活"って単語にいきなり現実を突きつけられる。
それからなかなか就活って言葉が頭から離れなくて
「就活、ね...」
帰り道、スーパーの買い物袋を片手に家までの道を歩きながら考えてちゃうくらい。
就活って、そもそもなにすればいいの。
ていうか、私どんな職に付きたいんだろ。
舞台照明とかデザインとか興味あるけど、専門的に学んでないし難しいよね。
ビジネス...っていっても、いろいろあるし。
って悩んでたらスマホがポケットで震えた。
"中村海人"
「もしもし」
海人「もしもーし」
なにやら電話の奥が騒がしい。
「どしたの？」
海人「今さ、どこいる？」
「もう家着くけど」
海人「まじ？」
「なんか騒がしいね、稽古中？」
海人「いやー、今家なんだけどさ、一旦帰ってからでもいいから俺の家来れたりする？」
「え、なに、怪しい」
海人「...」
中村さんの声が聞こえなくなったと思ったら、
奥から、Aちゃん？噂のAちゃん？っていう声が。
しーっとか言ってるけど丸聞こえ。
噂の、ってなに。
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作者名：guminchu | 作成日時：2021年3月6日 1時
