誰よりキミが好きだから (ページ1)

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中「あー、だっる」

そう言うと綺麗な金髪の頭をワシャワシャと掻く。

「彼女？」

中「そう。今から来いて」

立ち上がって財布を持った海人と目が合う。

中「行ってくるわ」

「いってらっしゃい」

だんだん小さくなる背中を見送って手元のスマホに視線を落とす。

………はぁ。

もう何回言ったんだろうな、“いってらっしゃい”て。

数えたくもない。

さっきみたいにだるいとか言いながら、いつもなんだかんだ彼女のわがままに付き合ってる海人はいい彼氏だと思う。

それなのに女運がない。

まあ言い方を変えれば海人の見る目がない。

海人の歴代彼女は束縛激しい子、過度なメンヘラの子、ストーカー気質な子、浮気性の子…言い出したらキリがない。

海人は別れる度に、『俺のことちゃんと想ってくれる子いねえのかな(苦笑)』て言う。

その度に私は「ここにいるのに」て言葉をグッと飲み込んでる。

だって、海人にとって私は“高校の同級生”。

それ以上でもそれ以下でもない。

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