【wrwrd】我々国に就職します【3rd】

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「ゾムさん？あの、怒ってるんですか？」

「怒ってへん。ただちょこっと寂しいなーって」

「寂しい？」

予想もしなかった言葉に思わずきょとんとしてしまった。

「俺がAの兄貴分やってんのにな〜。Aが褒められて喜ぶのはトントンなんやもん」

「ええ？そんなことないですよ」

「ほんまー？」

「ゾムさんのお陰でわたしここで頑張れてますし！そもそもゾムさんが声かけてくださらなかったら、ここにいませんでしたし！」

「‥‥」

少しだけゾムさんの口の端が緩んでいく。

「ゾムさんに直に教えていただけるなんて本当に光栄なことだ！ってこの間ノヴァくんにも力説されました。ゾムさんは皆さんに尊敬されているんですね」

「‥‥ノヴァ、くん？」

「はい。あの、新兵さんの」

「‥‥‥フーン、よく話すん」

「話しますよ！いろいろこの城のこととか、皆さんがどれだけすごいかとか、教えてくれるんです」

ノヴァくんはあの事件以降も変わらず、私に友好的に接してくれる。彼と話す時間は気兼ねなく、楽しい時間なので好きだ。

「‥‥寂しいわぁ」

「えっ」

「Aがどんどんみんなと仲良うなって、俺のことなんてもー構ってくれへんくなんねやろな〜」

「えええ！いやいやなに言ってるんですかー！」

機嫌が直っているように見えたのに、また口を尖らせてふいっと横を向いてしまう。困った、どうしよう。

「マンちゃんと国外デートもしたって言っとったなー！！！たしか！！！」

「お仕事です‥‥！」

「ええなー！！この間はショッピくんとしっぽりやっとったし！！」

「しっぽ‥‥？あの、記憶が曖昧なんですけど、あの夜のことなんであんなに怒られたんですか‥‥？」

「そんときはゾムさんみたいになりたいって言っとったのになー！！！偉い素直で可愛かったのになーー！！！」

「！？ ええええっう、嘘ですよね！？」

「嘘やないもん」

「わ、私そんな無礼なことを‥‥す、すみませんでした‥‥！」

ばっと頭を下げると、ゾムさんは「そこやないし‥‥」とつまらなそうに言って、トンと私の肩を叩く。

「俺の言うこと１個聞いてくれるんやったら、許したってもええかなー」

「？なんでしょう？」

「今度の非番！一緒やんな！？」

「は、はい」

「屋台巡り！しよ！」

先ほどまであんなに拗ねていたのに、そんな表情はもうどこにもなくゾムさんの目はぱっと輝いている。頬を引きつらせて、観念することにした。

「お手柔らかにお願いします‥‥」

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