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「…どうして、おじいさんはあんなに」
わたしの両親のことを拒んだんだろう。自分の娘とその夫のことを、拒んだんだろう。
あの2人は不幸だったんだって、おじいさんは泣きながらわたしを抱きしめた。わたしのことは決して不幸にはしないと、そう、言っていた。
お父さんに、お母さんに、なにがあったの？
お母さんはどうして、故郷の国を離れたの？
おじいさんの元を離れたの？
「グルッペンさ」
いつかのときもこうやって、グルッペンさんの長い指がわたしの言葉を遮ったときがあった。少しだけ薄暗い室内でも、グルッペンさんの赤い瞳は鈍く光っているような気がした。
グルッペンさんの人差し指がそのまま頬へ滑って、手のひらで頬を包む。親指がゆっくりと、わたしの震える唇を撫でた。
「……今日はここまでや。明日も早いんやろ？もう部屋に戻り」
「っ…」
今まで止まっていたんじゃないかってくらい、心臓がうるさくわたしの胸のなかで暴れている。おそらく真っ赤であろう私の頬をもう一度撫でて、名残惜しそうに手は離れていく。
「あ、し、失礼しました！！！」
金縛りが解け、私は転がるようにしてグルッペンさんのデスクを飛び出した。叫び出したくなるのをこらえながら、いけないとわかっていながら、廊下を全速力で走っていく。
なにこれ？なに？なに！？
混乱する私を、すれ違った給仕さんが不思議そうな顔で見送った。
★
「…あぁ、俺や」
バタン！と大きな音をたてて閉まった扉のなか、月明かり差し込む薄暗い室内で、グルッペンは端末を耳に当てて誰かと話していた。
「息災か？爺さん」
トントンから言いつけられた書類をデスクの隅によけ、隠し持っていたチョコレートの包み紙を開く。
「おん、こっちはなにも問題ないで。Aも元気にやっとる。今日はちょっとトラブルに巻き込まれたけど、自分で切り抜けたわ。さすが、あんたの孫やな」
口に放り込んだチョコレートをゆっくり溶かしていく。
「……やから、言ったやろ。事が済むまでは話も難しいわ。元々そういう約束や、そうやろ？あの時、あんたと俺とそう決めたやんけ」
とろりとチョコレートの中から、苺のソースが漏れた。
「この電話で許してくれ、爺さん。まだ、目星がつかへんねん。けど俺がAを守る。あいつらのようにはさせん」
月が雲に隠れ、部屋を闇が満たす。
「そう、あいつと約束したからな」
電話の奥で、奥歯を噛む老人の声が聞こえた。
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千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 私も好きです‥‥！２回書くくらい！(笑)ありがとうございます。書き溜めていた分が思ったより多くて偉い量になりました！そうなんです‥‥この話ややこしくて長いお話なのです‥‥そういう訳わからない設定を作るのが昔から好きでして‥‥！ (2019年9月25日 22時) (
レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - お酒…そういう話好きなんですよね〜(夢主が酔っちゃう系結構好きッス)あと、更新お疲れ様です！こんなにたくさん更新してて尊敬しましたwそれと、夢主の両親の過去(?)が思っていたより深くてどうやったらこんな思いつくんだと思いましたw (2019年9月24日 2時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» そうなんですね･･･！読んでいただけて光栄です。感想いただけてこちらこそお陰で力になります！ありがとうございます！本当にややこしくいお話なのでお付き合いいただければと思います！こちらこそまたお待ちしております！ (2019年9月22日 0時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - 千歳さん» いえいえ！(o^^o)最近、我々だ！への愛(?)が増してきててそれで調べてたら出てきたので拝見してとても一人で発狂してました((面白さとか込みでwはい！またコメントすると思うのでそのときは、よろしくお願いします！ (2019年9月21日 22時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 初めまして！こんなに長くややこしい話をここまで読んでくださり、ありがとうございます！嬉しいです･･･！私もそこは書いていて楽しかったですwありがとうございます、まだまだ続くのでよろしくお願い致します。 (2019年9月21日 18時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2019年5月19日 4時
