4日で結婚した話 (ページ12)

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個室について飲み物が届き

帽子とマスクを取った。

『え゛！』

あら、俺のこと知ってるみたい…

「京本大我です。」

『やっぱり本物？！』

「あれ？いつから気づいてた？」

目ん玉飛び出るんじゃない？

ってくらいびっくりしてる。

もしかしてファン…だったり…？

『電話の声が似てるなーとは…』

電話の時点でバレてるとか…

結構なファンなんじゃない？

「名前は？」

『星宮Aです。』

勝手に俺のこと知らないだろう

って思ってたから

いざ知ってると言われると

なんだか"いけないこと"をしてる気がしてきた。

「とりあえず乾杯」

酒が入らないと無理だ。

ぐっと体に流し込む

　
『今日はほんとにありがとうございました』

「携帯忘れるとかあるんだね(笑)」

『自分でもびっくりしてます。しかもきょもが…』

そう言って目の前にあるお酒をぐっと飲むAちゃん

俺をきょもと呼ぶ彼女はちょっとテレビで見るからとか

父親の息子だから知ってるとかではなくて…

確実にファンだと思う。

「ファンだったり…？」

『ごめんなさい…』

「いや、ありがとう？」

なんかお友達と話していた時より、
うんっと静かであまり話さない。

そりゃ推しがいきなり現れたら

それこそこの子にとって夢物語なわけで…

「普段何してるの？」

『普通にOLです。』

お酒が入って結構しゃべるようになってきて

ため口でもいいよ！っていうと

さすがにって

俺はため口でAちゃんって呼んで

Aちゃんはまだ敬語で京本さんって呼ぶ。

でもたまに呼ぶ"きょも"と"ため口"に

ドキッと胸が飛び跳ねてしてしまうんだ。

　

「結婚式行くんでしょ？」

『え？』

「カフェではなし聞こえてて」

『あーうるさくてすみません。』

そうじゃない。

俺が無駄に耳を澄ませて聞いていただけ。

でもそんなこと言えないから

ちょっと笑って誤魔化した。

『最近多くて、友達の結婚ばかり祝ってます』

「この歳になると呼ばれること多くなるよね」

『え？同窓会も呼ばれないのに？』

「は？うざ」

『ごめんなさい…』

ごめんなさいって言いながら

顔は笑ってて。

ちゃんとリスナーだわ…

って俺も笑っちゃって。

「結婚しよ」

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