story15 ページ24
「結局のところ、僕は逃げたんです。大学のための一人暮らしを使って」
だからこそ、あの子は僕を許さないんだろう。
Aの死に向き合わない、臆病者をあの子は嫌う。
「……でも、もうやめます」
きっと、今の僕の表情は泣き笑いになっているのだろう。
今までさんざん逃げてきた。今度こそ、向き合わなければ。
「といっても、直面したら、また逃げ出しそうになるんでしょうね」
向き合おうとして、あの子の家まで行ってきたのに、結局顔を見れずに、手紙だけ投函してきたあの時のように。
自分は臆病者だ。そんなことはもうとっくに知っている。
「だからそらるさん。お願いします、僕についてきてくれますか……?」
そらるさんに対して深く頭を下げる。
ぽん、とそらるさんの手が、僕の頭に乗せられた。
「なに言ってんだよ。まふまふが困っているなら助けたい。そう言っただろ?」
一日前に言われたことを思い出して、思わず苦笑を漏らす。
こんなに頼もしい相方がいたのに。いっぱいいっぱいになって、忘れていたな。
「ありがとうございます。……で、そろそろ手をどかしてもらえませんかね」
「いや、まふが俺の視線の下に来ることってなかなかないから」
まだ僕の頭の上から手をどかさないそらるさんは、笑い交じりに答える。
結構いいセリフだったのに、絵面的に台無しだ。
強引に頭をあげて、そらるさんと向き合った。
「じゃあ、最後の冒険に行きますか」
「冒険っていうほどのところでもないでしょ。徒歩十分の距離」
「精神的な問題ですー」
口を尖らせて、そらるさんに反論する。
未だに震えている僕は、きっと虚勢を張っているだけの臆病者なんだろう。
でも、臆病者でも許されるのなら。逃げなくていいのなら。
震えている手を無理やり抑えて、玄関の外に踏み出した。
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千々(プロフ) - くまくまちゃんさん» 最初のころの作品で語彙力ドバドバ崩壊なのにそういっていただけるなんて嬉しいです……! コメントありがとうございました! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - すごいふかいなぁ。神かな?←面白かったです! (2020年9月19日 9時) (レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» こちらにもコメントありがとうございますっっ! たくさんのコメントは本当にモチベに繋がるので嬉しいです……! 神作と思っていただけるのはRONONさんのネタが素晴らしいからですね、上手くネタを生かせたか心配ですけど、そう言っていただけて良かったです! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - こんにちは 新しい方のから読みに来ましたよ なんですか!?作者様は神作しか書けないんですか!?コホン…凄く良かったです 他のも読みにいきます (2020年8月18日 19時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» これからも読者さんの期待に応えられるように、誠心誠意頑張らせていただきます……! ありがとうございました! (2020年8月5日 15時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時:2020年5月10日 14時