story13 ページ15
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『ああ、“ゴミ捨て場”ですか? 頭の固い人は未だに話を避けてるみたいですけどね、もうあそこはなくなりましたし。別にいいですよ』
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“ゴミ捨て場”の話を男性に持ち出した時、俺はかなり慎重になっていた。
おばさんがその話題をあからさまに避けていたから。
でも、その話を切り出してみれば、案外簡単に答えてくれた。
もちろん、“親に近づくことは禁止されていたから、そこまで詳しい情報ではない”との前置きつきで。
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『あそこって孤児を保護していたんですよ。でもそれは建前で、あそこの責任者が孤児を保護したことで得られる、国の給付金を目的にしていただけらしいっす。現に、孤児の子たちは酷い扱いを受けていたって聞きましたし』
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そしてそこの通称が“ゴミ捨て場”。
詳しいことはわからない。だけど、きっと“Aさんのそっくりさん”は“ゴミ捨て場”出身だ。
“ゴミ捨て場”の近くで遊んでいたAさんと“Aさんのそっくりさん”。
Aさんが中学二年生のときに起きた、交通事故(おそらくその事故で死去)。
それなのに、再び現れたAさん。
きっと、“今のAさん”は昔孤児だったのだろう。
そこで“昔のAさん”に出会った。
二人は同じ顔だったため、時折遊ぶようになる。
しかし、交通事故で“昔のAさん”は死んでしまった。
そこで、“昔のAさん”の代わりに迎えられたのが“今のAさん”。
辻褄を合わせようと思えば、こうなる。
それならば、Aさんの家で見た写真にも四人しか映っていなかったのはうなずける。
だって、あれは正真正銘の家族写真なのだから。
「……知ってたんですね。…いや、調べたんでしょうか? 今日のうちに」
まさか、ここまで暴かれるとは思ってもいませんでした。そう言ってまふは笑う。
「……ごめん。俺はまふまふに嘘をついた。…話してくれるまで待つ。そう言ったのにな」
それだけは本当に申し訳ないと思う。
でも、直接聞いても教えてくれない気がしたんだ。
相方だろ? なら、一人で抱え込むなよ。俺も一緒に背負う。
そのために自分で調べた、自分で暴いた。
「でもそらるさん。一つ違います。僕が犯した罪。そらるさんはそれを知らない」
「だから、それを訊こうとここに来た。……たった一つ、まふがそこまでAさんに怯える理由がわからなかったから」
「……―――――Aを殺したのは、僕なんです」
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千々(プロフ) - くまくまちゃんさん» 最初のころの作品で語彙力ドバドバ崩壊なのにそういっていただけるなんて嬉しいです……! コメントありがとうございました! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - すごいふかいなぁ。神かな?←面白かったです! (2020年9月19日 9時) (レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» こちらにもコメントありがとうございますっっ! たくさんのコメントは本当にモチベに繋がるので嬉しいです……! 神作と思っていただけるのはRONONさんのネタが素晴らしいからですね、上手くネタを生かせたか心配ですけど、そう言っていただけて良かったです! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - こんにちは 新しい方のから読みに来ましたよ なんですか!?作者様は神作しか書けないんですか!?コホン…凄く良かったです 他のも読みにいきます (2020年8月18日 19時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» これからも読者さんの期待に応えられるように、誠心誠意頑張らせていただきます……! ありがとうございました! (2020年8月5日 15時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時:2020年5月10日 14時