妖の待つ宵【SVT】 (ページ1)

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その男、取り扱い注意につきページ1

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時を遡ること今から大凡1000年前。

この世は妖と共存する世界だった。

夜には空に白い月と紅の月が浮かび、人々は妖の力を使い生活を営んでいた。

その不思議な力は彼らの生活に溶け込み至る所に存在し、人の生活にはなくてはならないモノであった。

しかし、ある時からその力は次第に人々の元から離れ、また人々も長い時間の経つ間にゆっくりとその存在は忘れ去られた。

そして化学の発見、そして進歩により今までの世界とは全く新しい構造が出来上がり、完全に妖はこの世界の表から姿を消した。

MG｢そう、"表"からは＿＿＿＿＿｣

全世界を見ても片手指に収まる程壮大な高さと大きさを誇る某タワービルの最上階にて、口煩い小言が飛び交っていた。

MG｢聞いてる？ねぇヒョン！｣

『チッ』

MG｢舌打ちしない！寿命縮まるよ！も〜、ざっとカウントしても7万回は言ってるよ俺……毎回毎回表に出ないようにどれだけ苦労してると思ってるの！今ヒョン達が居ないからってまた派手にやって！｣

『静かにしろ。頭ぶち抜くぞ。』

MG｢え〜やめてよ〜あれ結構痛いんだからね？！｣

本当に寿命が縮まるなら願ったものだとケッと悪態をつき自室に向かう。

普通の人間ならばその並大抵なものでは無い殺気に飲み込まれて尻込み、怯え、今すぐにでも彼の目の前から引き下がっただろう。

しかしそんな彼を前に全く動揺もせず大きな図体で追いかけながら、更には文句を垂れるのは、彼の直の部下であるキムミンギュであった。

MG｢この処理するの俺なんだからね？分かってる？｣

『……』

MG｢まーたこの先何百年も尻拭いするって思うとコロッとあの世に行きたくなっちゃう。｣

『おー残念だな。それは。』

MG｢俺があの世に旅立てる様にお頭様は早く成仏してくださ〜い｣

『ちっ、下がれ。それと今は“社長”だ。』

目の前でバタンと閉められたドアの目の前でミンギュはそのドアの向こうにいるヒトに聞こえるように盛大なため息をついて見せた。

そして片手に握った書類を眺めると頭を抱えた。

まあいつもの事だから仕方ない、それに時間はまだまだある。

人間に急かされない程度にのんびりと対処するか、と折角綺麗にセットされた髪をぐしゃっとかきあげながら社長室を後にした。

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