５ ページ27
「あの人が、Aの旦那さん？」
由貴が振り返って、
章大に会釈する。
章大の顔が、
驚きのあまり、
強張っていく・・・
こんなに私にそっくりなんだから。
無理もない。
「お願い、由貴。
夫には、
渋谷さんのことは内緒にして。
それからあのことも・・・」
「あのことって？
ああ。
渋谷さんに振り向いて欲しくて、
少し・・・を変えたこと？」
章大に聞こえやしないか、
生きた心地がしない。
「お願い、黙ってて」
「ど、う、し、よ、う、かな」
由貴が、
小学生時代、
よく歌ってた節をつけて、
嘲笑うように言う。
章大がもう、
目の前まで駆け寄って来てるのに・・・
「A、どちらさん？」
章大が、私に、由貴のこと聞いた。
普段通りの声色に、少しほっとした。
自分で思うほどは、
私と瓜二つでもないのかな。
私より先に、
由貴が章大に微笑みかける。
「初めまして。
今日から、奥さんと同じ部署に配属になった、
派遣社員の藤巻由貴と申します。
Aとは、実は、
これは内緒なんだけど。
旦那さんだから特別に言っちゃいます。
私たち、幼馴染なんですよ」
「へぇ。
知らんかったなあ。
A、昔のこと、
ほとんど教えてくれへんねん。
また由貴さんに色々聞こっと。
あ、すいません。
申し遅れました。
研究室の安田です。
Aとは先週、結婚したところで。
よろしくお願いします」
「はい。
こちらこそよろしくお願いします。
そうだ。
今からお食事でもどうですか？
Aと会うの、
短大の卒業式以来で。
積もる話が色々あって・・・」
「そうやな。
行って来たらええよ」
「いえ、よろしければ、
安田さん、・・・章大さんも。
親友の旦那さんがどんな人か、
気になっちゃうし・・・」
「そうやなあ。
同じ会社の仲間やもんな。
ならお言葉に甘えて、
俺も混ぜさせてもらおかな」
私不在のまんま、会話が進んでく。
断らなきゃ、って思うのに、
恐怖に声も出ない。
由貴、何を考えてるの？
私の幸せを壊しに来たの？
「嬉しいです。
ね、A？」
あの頃のように、由貴に腕を組まれた。
体温さえ、感じない。
身体の震えを抑えるので、精一杯だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 486人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - うわぁうわぁ！！！ぞくぞくしました！ 割と感情移入しまくって読みながら泣いたりたまにセリフが口に出たりするくらいガチで感情移入するタイプの人間なんですけど(笑)、今回は自分がどっちなのか、今初めの主人公はどこなのか混乱して楽しかったです！！ (2018年11月11日 18時) (
レス) id: c2340028d5 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - お久しぶりです。いつもとテイストが違ってゾクゾクしました。どっちがどっち?って思わず読み返しました。 (2018年10月21日 5時) (レス) id: 60a8e9ffa8 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - お返事有難うごさいました(/ω＼)私なりの主題歌ドンピシャですよね笑！君がためシリーズ私も大好きで大好きで…何度も読んでます☆ミスチルだったんだ〜！ミスチル大好きなので、もう最高すぎる♪秘密２スリリングでハラハラしました！発想力に脱帽です (2018年10月20日 6時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - ゾクゾクしながら読みました！読み終わっても混乱していますが（笑）面白かったです。 (2018年10月19日 23時) (レス) id: 327514e65b (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - ヤス君、凄かった…(///∇///) アンケートで投票したくらい、この作品が好きで…普段の甘々な作品とのギャップがたまりません(≧▽≦) 素敵な作品、ありがとうございました♪ (2018年10月19日 16時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2018年10月3日 10時
