秘密。２

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次に目を覚ました時、


忠義は、
私のことを、


清花、


と、呼んだ。


「清花。良かった。
ほんまに良かった。
目が覚めて・・・
３日も昏睡状態やってんで。
心配で気が狂いそうやった」


ふと隣のベッドを見ると、

機械につながれた、
青白い人形のような清花が眠っている。


「ああ、Aさん。
お姉さんの方は、
残念やけど、
きっともう目は覚めへんて・・・」


どういうこと？

私は・・・


ここにいるのに。


忠義には、私が分からないの？


ベッドの名札には、

大倉清花と書かれてる。


清花のベッドの名札には、

私の名前、相田Aの文字が。


どうして、入れ替わってるの？



「ごめんな？
俺が悪かった。
こんなことになってやっと分かった。
俺にとって、
大切なんは清花だけや。
許してくれるなら、やり直したい。
今までの分も、大切にするから。
元気になって、退院出来たら、
新婚旅行のやり直しでもしよか」


甘ったるい溶けそうな声で言う。


「ちょっと、忠義、何、言ってるの？
私は・・・」


清花じゃない。


「赤ちゃん、はよ欲しいな」


忠義が、照れくさそうに、笑う。


「あのさ、忠義、さっきから正気なの？
何言ってんの？」


「清花、ずっと意識不明やってんから、
混乱してて仕方ないか。
あっ、清花のお父さん、呼んでくるわ。
めっちゃ心配してはってん」


お父さん・・・

あの人がここに来る。


逃げなきゃ。


こんな立場で会えるわけもない。



あの人にとって、目に入れても痛くない、

愛娘の清花を裏切った、

愛人の娘なんて・・・



小心者で臆病で、

本当は誠実な、忠義なんかより、


私はずっとずっとクズだ。


育ちが悪いせいだろうな。



ベッドを抜け出したけど、
筋力が落ちてるせいか、

床に転がり落ちてしまった。

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