わがまま×お嬢さま【HUNTER×HUNTER】

第２８話【１たす１は２！】 ページ29

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「A。魔法をかける際、何かなかったか？何でも良い。聞かせてくれ」


フェイタンの魔法が無事消えた頃。Aはクロロに呼び出された。



『……式？みたいなのが現れたわ。でも何かははっきり見えなかったの。ぼんやりと』
「……ふむ。それは術式かもしれない」
『術式……？』
「魔法を使うための式だ。おそらくそれを組み合わせて魔法を繰り出すのだろうな。こういう機能はよく見かける。……それに。推測だが、過去のお前はかなり腕のある魔法使いだったと思う」


他人の目の機能を奪い、声も奪う。
魔族にとっての魔法の基準は分からないが念と似た感覚ならばそれは高レベルのはずだ。それに何より、魔族にも疲労感があるのなら、そういった高レベルな魔法を1日に3回も使っても疲労を感じない彼女は凄まじい。
まぁこれもそれが低レベルの魔法だというなら別だが。


「それが術式だったと仮定して、その術式がどういったものでどう組み合わせるべきかは俺たちには全く分からない。教えてやることはできない」
『……独学するか、記憶を一刻も早く取り戻すか』
「そうだ」


Aは頭を悩ました。
今の自分に独学ができるとは思えないし記憶を取り戻せるとも思えない。
そもそもなぜ自分は記憶喪失なのだろうと思い始めてきて考えるのをやめた。









自室に戻って杖と睨めっこ。
おそらくこの杖はずっと持っていた。自分の知らないことを全部知っている。そう思ったのだ。


『うーん』


いくら睨めっこしても何の進展もない。杖は生きているわけじゃないのだから当たり前だ。彼女は杖との睨めっこをやめ布団に入る。
考えるのが疲れてきた。
それよりもこれを解決するにあたって人に頼ることができない。
自分だけが魔族で自分だけが自分の記憶を知っている。


『……結局1人なんじゃない』


彼女は疎外感が嫌いだ。









あれから寝ることもせず、かといって布団から出ずという無駄な時間を過ごしていた。今は遊びたい気分じゃないし誰かに会いたいとも思わない。
先ほどもご飯を知らせにきたマチにいらないと言った。マチは何か聞くわけでもなく去る。


『……なんであたしには記憶がないのよ…………』


早く記憶を取り戻したい。
どうやったら記憶を取り戻せる？
そう考えているうちに眠りについた。

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