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生まれてきてくれてありがとう。
○
「どれがいい？甘いの苦手だったらこのフルーツのタルトがオススメです」
「いや、特には……すげえいっぱいあんな」
「焦凍くんの好みが分からなくて。安心して！残りは全て私が食すから」
太るぞ、と言って焦凍くんが選んだのはティラミスだった。
流石である。(何が？)
誕生日感を出すために彼が選んだティラミスに一本ロウソクを刺して電気を消す。
ライターで火をつけると、ロウソクは煌々と火を揺らしていた。
「はっぴーばすでーとぅーゆー、はっぴーばすでーとぅーゆー、はっぴーばすでーでぃあ焦凍くん！
はっぴーばすでーとぅーゆー！わーい！！生まれてきてくれてありがとうー！！」
「…………」
私の拍手をBGMに、焦凍くんは無言でロウソクに息を吹きかける。
火が瞬く間に消え、部屋が真っ暗になったその時だった。
「わ！……しょ、ど、うした…？」
「………A」
暗闇の中、突然抱き締められた。
当然お相手は焦凍くん。
暗い上に、焦凍くんの鍛え抜かれた胸板に顔が押し付けられて前が全く見えない。焦凍くんのお顔も見えない。
そして焦凍くんのいい匂いがすごいする。
前から思ってたけどなんで君そんなにいい匂いするの？
「な、なに？デレ期？」
「……なんか、気分だった」
「甘えたさんだね」
羞恥を堪えて彼の背中に手を回す。
大人っぽい焦凍くんの、少しだけ幼い一面が見られた気がして胸がぎゅっとなった。
あと、私の肩口で頭を擦り付けるの可愛いからやめて頂きたい。
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作者名：- | 作成日時：2017年12月9日 6時
