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スーパーサプライズタイムを開始する。
○
「はっぴーばすでー」
焦凍くん顔負けの無表情に加え、棒読みで拍手をする。
そしておもむろに鞄から(さっき百均で買ってきた)クラッカーを取り出してパァン!と音を鳴らす。プレゼントを押し付ける。
それが終わって、散らかったクラッカーの中身を回収し、再び拍手をしてトドメの「いぇーー!!!」。以上。
これが、私が放課後に雄英高校の校門で待ち伏せして行った、焦凍くんのお祝いの一連の流れである。
焦凍くんは私が待ち伏せをしていたことに驚いているのか、はたまたクラッカーの音に驚いているのか分からないが、ぽかんと無防備に口を開けて固まっている。
サプライズ成功だ。
「焦凍くん?」
「……ありがとな」
「ん?」
「嬉しい……」
そう言うと焦凍くんは目を伏せて少し顔を赤らめた。染まった頬を隠すようにして、彼の手が口元へ移動する。
わ、わあ。嬉しそう。謎のサプライズなのに喜んでくれて良かった……と何故か私が泣きそうになる。最近涙脆いな。歳かな。
私の顔も熱くなってしまったので、手で隠す。
校門で同じポーズ取って何をやっているんだろうか私たち。傍から見たら変な二人組なので、人がいなくて本当に良かった。
「このクラッカーも大事にするから」
「それはプレゼントじゃないよ!?
あ、えと、時間大丈夫?」
「?どっか連れてってくれるのか?」
「うん。うち」
「……!?」
焦凍くんは一瞬フリーズしたように見えたけど、次の瞬間には「分かった」と恰好良く歩き始めた。
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作者名:- | 作成日時:2017年12月9日 6時