キスフレ (ページ10)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:157,023 hit

. ページ10

いつもより二割増しな早口で『ほな迎えに行くから！またあとで！』の言葉に、待ってまーすと返し電話を切った。
住所をメッセージで送り、電話しながらいつの間にか着いていた家に入る。
仕事終わりでよれよれの服を着替えて、化粧を直して、神ちゃんを待ち構えた。

きっと神ちゃんにとっては夜眠くならないために、ぐらいにしか思ってないんだろうけど、ドライブに行くためにわざわざお昼寝してくれたと良いように受け取ってしまいたくなる。
ダメだぞ、Aちゃん。相手は仲良しな女友達が欲しいだけのアイドル神山智洋なんだぞ。
痛い目を見る前に勘違い思考は捨てような。

～～～～♪

神山智洋：ついたでー

神山智洋：もうでてこれる？

心のブレーキAちゃんを召喚して宥めていたら神ちゃんからついたよの連絡がきた。
急いで部屋を出て、マンションの下に停められた車に近寄ると、運転席の窓が下がって神ちゃんが見えた。

『お仕事お疲れ様、乗って？』

助手席のドアが開けられ、そこに乗り込む。

『疲れてない？…なに。なんかわろてるやん』

「いえ、思い出し可愛いを少々」

『なーもうええてば』

恥ずいねん、掘り返すなやあ～と拗ね拗ねな神ちゃんに疲れなんて吹っ飛んだ。

「私も楽しみで階段すっ飛ばして降りてきた」

私の超どうでもカミングアウトに一瞬キョトンな顔をしたあと

『楽しみやったんや、ふうん～』

と、神ちゃんは満更でもなさそうな声で呟いた。
暗くて見えなかったけどちょっとだけ嬉しそうに見えたのは、都合よすぎ？あ、そう？

『ほな、車出しまーす』

「お願いしまーす」