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ページ10

もうなんだか分かってしまった。
時透君は文を開く。


時透 「…?」


首を傾げている。


A「…恋文だよね?」

時透 「そうなの?」


いや、こちらから見えてるけど、内容的にそれしかありえない。


A「もらった覚えは?」

時透 「?」


そうだった。時透君、何事にも無関心だから忘れるんだ。


時透 「…これ全部恋文なの?」


そう言って、懐からドサッと文の束を出した。…えぇぇ!?


A「なんで読まないの!?というかなんであるの!?」

時透 「…忘れるから?朝起きたら何故だかわからないけど、隊服が文で溢れてたから束ねた。と思う。」

A「無意識に何通貰ってるの。取り敢えず今読んで。」


時透君はつまらなそうに読み始めた。


時透 「…。意味がわからない。」

時透 「これ、本当に僕のこと好きなんだよね?」


じゃないと恋文なんて渡せないでしょ。勇気がいると思うよ。


A「なんでそう思うの?」

時透 「どの人も、恋仲になれだの一度会ってくれだの。何を考えてるんだろう。」


無口で可愛い時透君が急に不機嫌そうに話すから驚いた。恋文なんだ。そりゃ恋仲になりたいし、会って話がしたいはずだ。


時透 「この人たちって、多分鬼殺隊だよね。戦いのこととか書いてるし。」

A「そうかもね。」


こんなに長々と話す時透君、想像つかなかった。


時透 「…鬼殺隊の自覚あるのかな。」


段々怒ってるような口調になる。


時透 「のんきに恋愛してる場合じゃないよね?そうやって楽しんでいる間、鬼は次々に人を食っていくんだよ?どれだけの命が失われると思ってるの。
俺たちの仕事がわかったうえでこんなにふざけたこと書いてるのかな?
この子達には、覚悟ってものがないの?」


…正論だ。


女の子たちの気持ちもわからなくはない。確かに時透君はきれいな顔しているし、戦ってるところとかかっこいいんだと思う。それに、鬼殺隊はいつ何が起こるか分からない命がけの仕事。

いつ死んでもおかしくない。だから、気持ちだけでも、生きている間に伝えたかったのかもしれない。

でも時透君だって、恋愛に無関心というだけでこんなことを言ったわけじゃない。鬼殺隊の柱として、鬼から人々を守る一人の剣士としての覚悟があるからだ。

命の重さを知っているからこそそう思えるんだ。

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月29日 23時

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