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次の日、私は二度目の学校があった。帰ってくると、店の前に時透君が立っていた。
時透君が私よりも年下だと昨日知って、時透君と呼ばせていただくことに。彼はこちらに気づくと、タタタと走ってくる。可愛い。
時透 「A。」
A「…!?」
あれ。時透君って…人の名前忘れやすいんじゃなかったっけ!?昨日でさえ宇髄さんのことを『この人』って呼んでたし。まぁ、覚えていてくれてすごく嬉しいんだけどね。
時透 「これ、お館様から。」
時透君が渡してきた文を開く。お館様から直々に文なんて。
時透 「僕がお屋敷を訪ねたとき、音柱の人がいたんだ。」
A「宇髄さんだよね。」
時透 「たぶん。その人が、ふぐの捌き方をAに教えてやってくださいって頼み込んでたよ。」
A「…うそ。」
私が文を開くと、ふぐの捌き方が隅々まで載っていた。…ふぐって毒あるんだ。…結構難しいじゃないか。私にできることじゃないよね?
A「次来たときにこれを作れと?」
時透 「柱なら、ふぐくらい余裕で斬れるよね。」
A「捌くのと斬るのは違うよ。ふぐに首もないし。」
でも確かに、宇髄さんが日輪刀でふぐ斬ってるの見てみたいかも。
A「考えておくよ。時透君ご飯食べていく?」
時透 「そのつもり。」
A「お入りください。」
私は時透君をお店に通した。
A「何にされます?あ、ふろふき大根好きだったね。」
時透 「覚えてたんだ。昨日言ったことなのに。」
A「昨日言われたことだからだよ。…え?」
時透君…記憶障害なんだよね!?昨日自分が私に『ふろふき大根が好き』って言ったこと覚えてるんだけど!?というかさっきも私の名前覚えてたし。
A「時透君って…記憶障害なんだよね?」
時透 「そうなのかな?でも、いつも興味がなくて忘れるはずなのに、Aのことだけはちゃんと覚えてるね。」
A「そうなの?」
時透 「うん。どうしてだろう。」
考え込む時透君が可愛い。あれ、時透君のこと毎回可愛いって思ってない?私。
私はふろふき大根を作って、ごはんと副菜を添えて時透君の前に置く。すると、時透君の懐に白い紙が挟まっているのが見えた。
A「時透君、それは?」
時透 「どれ?」
これだよ、と言って、懐のそれを引っこ抜いた。
A「これ…。」
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