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…ん?
起きると目の前が真っ暗だった。
そうか。私…時透君に引きずり込まれて…。
時透 「…A、起きた?」
A「あ、うん。」
上から時透君の声が聞こえたので、反応する。
起きてたのか…。
…そういえばまだ抱きしめられてるんだっけ!?
すると彼は私を離した。
時透 「ごめん。状況が把握できてない。説明してくれる?」
A「…えっとね?
まず、時透君は私が料理を作ってる間に寝てしまったから、私はここに運んで立ち去ろうとした。
でも時透君が私を布団の中にひきずり込み、このまま寝てしまったと。…うん、ごめんね。」
時透 「いや、僕もごめん。知らず識らずのうちにとんでもないことをしてた。」
時透君は顔を真っ赤にして言った。
私は特に気にしてないけど。
時透君温かかったし、いい匂いしたし。
…なんて変態みたいなこと考えてるのよ私。
A「気にしてないよ。それより、お腹空いてるでしょ?ご飯食べよう。」
時透 「…うん。」
どこか寂しそうな表情で頷く。
私なにか変なこと言った?
時透 「…ていうか、よく僕をここまで運べたね。女の子なのに。」
A「もともと力はあるからね。でも時透君軽かったから、誰でも背負えると思うよ?」
時透 「…そこまで軽くないと思うけど…。」
A「そうかな?」
時透 「うん。…あと、髪ボサボサだよ。」
苦笑いして私の頭に手を置く。
…こんなところ見られたくなかったのだが…。
A「…御見苦しいところを見せてしまいました…。」
時透 「まぁ、寝起きだしね。髪を梳いておいでよ。」
A「うん。椅子に座って待ってて。」
私は急いで髪を梳かしに行った。
A「はい。」
時透 「ありがとう。」
普通の朝ご飯です。
期待しないでください。
時透 「…昨日も学校休んでなかった?」
A「今日は元々休みの日なの。」
時透 「そうなんだ。」
こうやって、時透君と他愛のない話をするのが一番の楽しみ。
私の愚痴だって、大好きな本のことだって、
何でも聞いてくれるから、スッキリする。
時透君は自分のことを話してくれないけど。
何も覚えてないみたい。
いつかは思い出せるのだろうか。
何年先でもいいから、彼のことも聞いてみたい。
私のことをたくさん知ってくれてる彼みたいに、
私も彼のことをたくさん知りたいんだ。
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