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時透君に恋人…
なんか嫌だ!
だって、恋人ばかりにかまって、
もう私とあまり話してくれないかもしれないし。
それにこの前、恋愛しない、みたいなこと言ってたよね?
なんだろうこの感じ。
胸がキュって締め付けられるような感じ。
痛い…。
時透 「…ねぇ。」
A「…うわっ!」
驚いた!あれ?時透君!?気付かれてたの!?
時透 「…A大丈夫?」
A「うん、まぁ。」
急に叫んだ私を心配してくれたんだ。嬉しい。
A「時透君は、なにか買いに来たの?」
時透 「そういうわけではないんだけど、今日の任務が遠いから、早くに屋敷を出てきたんだ。」
A「そっか。忙しいね相変わらず。」
時透 「君は?」
A「蝶屋敷のアオイさんっていう人に、お料理を教わってるの。今、大根を買いに来たところでね。」
遠い任務なら、ここで足止めしたら駄目だよね。
時透 「そう。…A。」
A「うん?」
時透 「…はい。これ。」
A「……え?」
時透君が私の手に乗せてきたものは、浅葱色の花が咲いた綺麗な髪飾りだった。
これって…さっき見てた…。
時透 「ここを通りかかったらこれが目に入って、Aがつけたら綺麗だろうなって思って買ったんだよ。」
…私のために?
さっきの心苦しさが一気に嬉しさに変わった。
ちゃんと私のことも考えてくれてたんだ。
時透 「…A!?」
A「…?」
あれ?なんで私、泣いてるんだろう。
こんなに綺麗な髪飾りをもらったのに。
時透 「気に入らなかった?」
涙を拭いながら優しく言ってくれる。
…違うの。
違うんだよ。
A「…嬉しかったんだよ…。ありがとう!」
思いきり笑った。
時透君は驚いた顔をして、その後私に優しく微笑んだ。
時透 「良かった。」
すると時透君は、私の手から髪飾りを取り上げた。
…え?
時透 「じっとしててね。」
彼は私の髪に手を伸ばし、飾りをつけた。
A「…わぁ。」
触ってみると思わず声を上げてしまった。
時透 「似合ってるよ。可愛い。」
A「え…。」
時透君からの聞き慣れない言葉に驚いた。
彼から褒められると、顔が熱くなる。
最近の私はどうもおかしい。
時透 「今日はお店に来れないけど、明日は来れるから。またね。」
A「うん。任務頑張ってね。」
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